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それは初恋でした②
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HRが終わり、休み時間に入った時を見計らって俺は窓際のあいつに話しかけた。
「おはよ!」
「……」
そしてまさかの無視。
「おーい、聞こえてる?」
「……」
また、無視をされた。
え?あれ、俺ちゃんと今挨拶したよね?
聞こえてないのか?
話しかけても、ずっと無言で外を見つめるそいつにだんだんと、苛立ちが募ってくる。
「なぁって!もしもーし、聞こえてますか?」
「…………煩い、聞こえてる」
「もしも……、お?」
もう一度呼びかけるために口を開いた時、やっと相手は口を開いた。
「なんだよ〜、聞こえてるなら無視すんなよな!」
「…別に、反応しようが、しないもこっちの勝手だろ」
「なっ……!?」
やっと反応してくれた事に嬉しく思いながら笑いかけた俺は、そいつの言葉に一瞬笑みをひきつらせた。
なんだよ、こいつ。めちゃくちゃ感じ悪い!
それでも俺は、気にしていない風を装いながら相手に話かけた。
「え、えー?そんな事言わなくていいじゃん!話そうぜ?」
「だから、話す事なんて無いし。煩いんだけど」
「え、あ……」
「俺にもう、話しかけてくるな」
俺の顔を一度も見ずにそれだけ言うと、相手は黙り込んでしまった。
俺はいきなりの事に何も言えず、暫くその場で呆然としていたが、遠くから様子を伺っていたクラスメイトの1人に真紀と手招きをされて、とぼとぼとそちらへと向かった。
「…………なに」
「お前、大丈夫か?北河の態度のせいだろ」
「あー…うん。まさかあそこまで言われるとは思わなかった」
クラスメイトに言われた言葉にはは、と乾いた声が出る。
「おいおい、大丈夫かよ。流石の真紀くんも北河の毒舌ぶりには勝てませんでしたってか?」
「いや、大丈夫だけどさ〜。めっちゃ感じ悪過ぎでしょ?てか、あいつの名前知らなかった」
「は?お前、北河の名前知らねぇの?」
「いやぁ、初めて話したし?」
真紀の言葉に男子はマジかよ、という顔をした後に納得をした様な顔に変わる。
「まぁ、真紀が名前覚えてなくても仕方ないか。あいつ影薄いし、オレだって最近フルネーム知ったしな」
「そうなの?」
「あぁ、あいつ北河 陸っつーんだけど。窓の外ばっか見てる変なやつだよ。それに無口だし。真紀以外にも話しかけてた奴は何人か居たけど、無視されるか北河の毒舌にやられて今じゃ話しかけるやつもいねぇよ」
「へぇ……そうなんだ」
そんな事、早く言って欲しかった。
「ま、そう落ち込むなや!一人がいいって言ってんだから、一人にさせておけばいいんだよ」
「えー、あぁ……まぁ、そうだよなぁ」
な!と言って俺の背中をばしばしと叩くクラスメイトに曖昧な相槌を返すと、俺は横目で北河を盗み見た。
そとばかり見てるって、何を見ているんだろう?
あんな辛辣な言葉を吐かないで、ただ笑って楽しいなって感じを出していればみんなと仲良くなれるのに……
じ……っとただ、教室の外だけを見ている陸の横顔を見つめながら、真紀は頭の中で様々なことを考えていた。
……よし、決めた!俺、もう1回北河に話しかける!
忠告をしてくれたクラスメイトには悪いが、このままでは自分の気持ちが収まらない。
次の授業開始を告げるチャイムの音を聴きながら、真紀は心の内でもう一度、陸に話しかけるという事を決めた。
。
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