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Ice-bound 7
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酷い目にあった…
久しぶりに叫んだ。疲れた。
だいたい、どっからどう見れば私が中学生に見えるわけ?
白衣着てるよね?常識的に考えて違うよね?
馬鹿なのかな。
馬鹿だね。ばーか。
ほんと、今日はついてない…
そんなことを考えながら
魅冬は診察室に戻っていった。
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「どう?まとめられた?」
マスクを外しながら研修医に聞く。
「…はぃ。」
零奈ちゃんの診察中、自分がその場に合わない不適切な発言をしたことについて怒られるとでも思っているらしく、
研修医はこちらの機嫌をチラチラと伺っている。
ここは私から聞かずにあえて研修医の口から言わせよう。
そう考えた魅冬は「どうしたの?」と笑いながらも聞く。
「ぃゃ…自分が何か失敗をしてしまったのかな…と思いまして。何か不適切な発言をしましたか?」
分かってないんだ。自分が何を間違ったのか。
「あなた言ったよね。苦しい心を取り除いてあげる。って。あなたにそんな神様みたいなことが出来るの?その、暗い過去だけを取り除けるの?」
「……。」
逆に僕達が取り除いてあげるんじゃないのか?とでもいうような目で、研修医は魅冬を見てくる。
「…出来るの?」
「…でき…ません。」
「そうよ。零奈ちゃんの苦しい心を、暗い過去を取り除けるのは他でもない、零奈ちゃんしかいないの。…だからあなたがそんなことを言ったら零奈ちゃんは自分でどうにかしようなんて考えなくなる。私たちがどうにかしてくれるとでも勘違いしてしまう。零奈ちゃんは完治しない。」
全ての原因を、責任を、自分以外のものだと思ってしまうから。
世界が自分を中心にでも回っていると。
過去の自分を受け入れられない。
「…。すいません。これから気をつけます。」
「まだ、取り返しはつくよ。でもその事を忘れないで。零奈ちゃんの心はあなたや私がどうこうできる問題じゃない。そうでしょう?」
「じゃあ、どうやって零奈ちゃんの心を治すんですか?」
治す?私が?
「私は治せないよ?」
「…え?じゃあ…」
めんどくさいな…説明するのもめんどくさいし、説明してもわかんないでしょ。
「もう次の診察始めましょうか。」
「あ、はぃ。すいません。」
腑に落ちてない研修医を尻目に、魅冬は今日の患者を次々とさばいていった。
┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈
もうそろそろ上がろうかな。
今日の患者をさばき終わり、仕事をしていた魅冬は6時を少し過ぎたぐらいの時計を見る。
上がって、どっかでブラブラしてようかな。
そう考え、出入口に向かったところである人にあった。
神谷雅貴。
私の苦手な人。
「あ。魅冬じゃん。何?今帰るとこ?」
魅冬に気がついた神谷はさも当然というように声を掛けてくる。
「……」(´^`)プイッ
魅冬は雅貴に気づかない振りを決め込む。
「ちょ!えーなんで無視するの?酷いな!返事くらいしてよ?!」
ほら。こんなふうに酷く接しても相手してくるから苦手んだよ。
普通呆れない?今までの人はそうだったんだけど。『何?こいつ。』みたいな。
それか、『気づかなかったんだな。』って思ってそのままで帰らない?普通。
この人はぐいぐい聞いてくる。
私のどうでもいいことだって聞いてくる。
だから、嫌いだ。苦手だ。
「あっ。 ごめん。気が付かなかった。実はこれから用事あるから…ごめんっ(^^;;」
「魅冬に用事?何の?1人なら一緒に行ってあげよっか?ていうかいい加減名前で読んでくんない?硬いよ。」
「あー。わかった。気が向いたらそうする。」
「はい!じゃあ今どうぞ!」
「…さっ。用事あるから行こっと。」
「えー読んでよーひどいなぁ。」
そんな会話をしながらもなお、神谷は私について来る。
「いやいやいや。ついて来ないでよ。用事があるから、今日はじゃあね。ばいばい。」
そう、笑いながら魅冬は言う。
「えー。だから、用事って何?俺もついてくよ?」
用事の内容は言えないな。きっとこの人ならぐいぐい聞いてくるだろうし。
他の人でも、面白半分にきいてくるだろうな。
まぁ、人間に心から興味ある人はいないだろうけど。
「ついてこなくていいよー笑大丈夫だから。ありがとね?じゃあまた明日。ばいばい(*´`*)」
そう言って私は笑顔で手を振った。
「…やだ。ついてく。意地でもついてく。」
「なんで?!笑」
本当に邪魔だな。最悪だ。
「ついてく。」
「オペ立て込んで疲れてるんじゃない?家で休んだら?」
「疲れてない。ついてく。」
その後も説得を続けたものの、神谷は1歩たりとも譲らず、私についてきた。
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「なぁ。どこいってんの?」
「…近くの抹茶屋さん。ねぇ、まだついてくるの?」
「あぁ。ついてく。」
このままじゃ約束の場所に行けないけど、こっから近いし、適当に撒こう。
抹茶パフェを食べる時間ぐらいはあるだろうしね。
「魅冬って甘いもの好きだったっけ?」
「ご想像におまかせします。f^^*)」
「おまえいっつもそれ使うよな笑。そんぐらい答えても良くね?」
興味ないでしょそんなこと。
それにあんま仲良くしたくないんだよね。
私が黙っていると、
「じゃあ、これだったら答えてくれる?」
と他の質問をして来た。
「ずっと気になってたんだけど、今日眼鏡かけてないの、なんで?」
「ご想像におまかせします。f^^*)」
「マジか。それもご想像なのか。ほんと、何があったんだよ。なぁー」
気になるー。と勝手にペラペラと喋る神谷を尻目に、魅冬は注文をしていく。
「えーっと。抹茶パフェ、あずきわらび白玉のほうで。店内でお願いします。」
「かしこまりました。この番号札を持ってお待ちください」
番号札を持ち、好きな席に座って待つ。
「俺もなんか頼もっかな。」
そう言い、神谷はまたレジの方へ向かっていった。
その後神谷が戻って来て、何を頼んだのか聞くと、ニヤッとわらって、内緒。と言われた。
しばらくして店員さんが頼んだものを持ってきてくれた。
見ると、私が頼んだ抹茶パフェの他にもう1つ。
「え…なに、それっ…」
「可愛いだろ。でも、俺のだもんね。」
神谷が頼んだのは、あろう事か、ねこパフェだった。
「かわいいっ…」
あまりに可愛かったのでじっとそれを見つめていると、ねこの顔にあろう事か木のスプーンがグサッと、刺さった。
「ああっ!なにしとると!」
「何って。食べようと。」
そっか。これ可愛くてもパフェだもんね。食べないともったいないもんね…
私が複雑な気持ちで神谷が食べているのを見ていると、「ぶはっ。」という声が聞こえた。
「え?なに?どうしたの?」
私が何故そんな声を出したのか分からず聞くと、
「…っ!いやっ…あまりにも見つめてくるから…っ面白くて。ふはっ。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ」
「ちょっと!そんなに笑わないでくれない?てゆーか、大体そんなのメニューの中にあった?」
「あったよ。笑『にゃんこパフェ』ってでかでかと載ってたよ。」
「そっか…」
それに気が付かなかった自分に嫌気が指しつつ、しかたなく、自分の抹茶パフェをぱくついた。
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「もう食べ終わったの?早くない?」
「いや、魅冬が遅いんだよ。」
「そうかな…」
本当にそうだろうかと不思議に思い、ちらっと時計を見る。
「あっ!やばい!」
「どうした?」
時計を見ると、7時にもうすぐなるというところだった。
幸い、ここから走っていけば5、6分位で着く。
「ごめん。時間ないから、嫌じゃ無かったら残り食べて。ほんとごめん。じゃあねっ。」
「は?おい、待てよ!」
神谷が状況を読み込めてないなか、魅冬は目的地に走っていった。
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