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*02*
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…はぁ。
小さくため息をついて、僕はその濡れた瞳から流れ出る涙を拭いながら起き上がりベッドから立ち上がる。
小さく伸びをして、まだ少し残る眠気を振り切り寝間着姿で部屋を出る。
薄暗い廊下と冷たい床に少し身震いするも、気にせず足を進める。
トントントン、とリズム良くフローリング式の階段を下りる僕の足音に、この家の住人の一人_真希子(マキコ)さんが一階にある一つの扉からからひょっこり顔を出した。
「心鈴(ミスズ)くん、おはよう。」
「おはようございます、真希子さん。」
やんわりと微笑んだ真希子さんに釣られて、僕も同じように微笑み返すと、真希子さんは嬉しそうに階段を下りきった僕の手を小さくて細い手で引っ張った。
「今日はね、心鈴くんの新しいスタートの日でしょ?だから私、朝ご飯張り切っていっぱい作っちゃった!」
ドッキリが成功した。
そんな風に、くすくすと悪戯っ子な笑みを浮かべる真希子さん。
「ありがとうございます。でも、こんなに食べきれないですよ?」
とても朝ご飯の量とは思えないその品数に、少食な僕は頬を引き攣らせた。
「あら、大丈夫よ。食べ盛りな涼平(リョウヘイ)がきっと貴方が残しても食べてくれるわ。」
また、くすくすと笑う真希子さんに僕は苦笑を浮かべる。
「…そうですね。」
未だに、僕の部屋の隣の自室ですやすやと眠っているであろう小学五年生の義弟の涼平。
少し気の毒に思うも、食べ盛りな涼平の方が細っこい僕より食べる量が多いので、残った分はあの子に任せよう、と真希子さんの考えに賛成して大人しく席に着いた。
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