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愛しさと情の違い
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勢いで飛び出してきたのはいいものの、柊弥が納得していなかったのも事実。
現に今、携帯の着信が鳴り病んでいないのが何よりもの証拠だ。
いつまで逃げ回れるだろうか。
取り敢えず圭は、こんな姿では居られないと、急いで手にした服を身に付け、近くにあった公園のベンチに座り込んだのだ。
「どうすればいいんだろ・・あんなに啖呵切って出てきちゃったしなぁ・・」
そう呟きながら、未だ震える携帯を手に取り、見つめる。
そして、携帯のアドレス帳を開き "坂木 柊弥"という名前をタップした。
[このアドレスと電話番号を消去しますか?]
そう、表示された画面を圭は、ぼーっと見つめていた。
今思えば柊弥は、確かに乱暴に抱いたり暴力を奮ったが、愛しているという言葉はくれていたじゃないか。やっぱり自分には柊弥しかいないのだろうか?そして自分同様に、柊弥には自分しかいないのではないだろうか?など、DV後、優しくされた被害者特有の感情に苛まれる。
だが、こんなのはいつもの事で、逃げ出したのも今回だけではない。
本当に愛しているとすれば、柊弥の行動も違うはずなのだ。
第三者からすれば、こんなに電話をかけてきて、本当に圭を愛しいと思っているのなら、暴力なんて振るわなければいいだろ。という話な訳で。
いい加減自分もこの辺でケジメを付けなければいけないと思い、携帯の画面を、ぐっと見つめ直し、深く息を吸い、深呼吸をした。
[このアドレスと電話番号を消去しますか?]
''はい"
そして、すぐに柊弥の番号を、着信拒否にした。
「あーあ、何が間違いだったんだろう。僕のこの柊弥への感情も愛じゃないのかな」
そう呟くと、何故だか自然と涙が出てきた。
だが、答えてくれる人も、慰めてくれる人も誰一人としていなかった。
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