アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
42
-
「俺生まれてからしばらく 母親の実家で親子3人で暮らしていたらしんすよ。
俺はほとんど覚えてないんすけどね。
だけど 俺が 物心つく頃に 夫婦仲がうまくいかなくて 父親一人が出ていったらしいんです。
そのあと 二人を修復させようと 周りが思ったんでしょうね
俺と母親は 母親の実家を出て一戸建ての借家で暮らしたらしいんス。
ところがね 俺の母親って家事全てダメダメな人で。元々金持ちな家で育ったお嬢様だったから。
料理なんて作れないんすよ。
ほんとに小さかったからあんま覚えてないんすけどね。
朝は菓子パンと牛乳。昼と夜は外食かコンビニ弁当か出前で。
洗濯は靴下までクリーニング屋でね。
だから幼稚園のスモックとか体操服とかは何組も持っていました。
靴は汚れたら新しいの買って。上履きもね。
そうなると 残る掃除なんて やる訳ないし。
そこでねアイツとアイツの家族の登場になるわけッス。
幼稚園入りたての頃だから あんま俺覚えてないんスけど
俺はいつもほったらかしになっていたらしくてね。そりゃそうでしょ。
飯作るのもやらねぇ母親なんだから 育児らしきこと やるわけねぇっしょ。
近所だったアイツの婆ちゃんが 親戚の葬式だか何かで 遅く帰宅したら道端で俺が遊んでいたらしいッス。いつものことだったらしいッスけど。
アイツの婆ちゃんは大家族で世話好きで。
深夜にも近い時間で 放っておけなかったんでしょうね。
ガキの俺を寝かせようとしたんでしょうね。
俺の持っていた鍵で入って 誰も居ない家で一緒に俺の母親が帰ってくるのをしばらく待っててくれたんすよ。
ところがいつまで待っても帰って来ないし。
ふと部屋を見回すと 家事が出来ない母親だから 布団は敷き放し 窓は 網戸にもなってないし きちんと閉めてない。汚れ放題 ごみはごみ箱から溢れている。
狭い玄関には汚れた靴が折り重なってる。
台所のシンクはごみの三角コーナーすらない。空き缶が山ほどビニール袋に入ったまま。クリーニング済みの服が壁に掛かって押し入れは開きっ放し。
だったらしいです。
俺そこに住んでいたんだけど ガキだったから覚えてないんすけどね。
決定的だったのは オモチャも絵本もゲームも無い俺は
そこら辺にチョロチョロしていたゴキブリを平気でつかんでいたらしいッスよ。
今は気持ち悪くて絶対出来ないッスけど。
その婆ちゃんに 昆虫採集の ノリだったんでしょうね。
カブトムシの子供捕まえたって 婆ちゃんに見せたらしいッスよ。
子供だからゴキブリもカブトムシも見分けつかねぇし。
だいたいガキの俺が捕まえられるって どんだけゴキブリの巣窟になっていたんだか。
それからアイツの婆ちゃんは 置き手紙して 家を出て 俺を連れてアイツの家でしばらく暮らしたんすよ。たぶん1ヶ月くらいなのかな。
辿ってみたら まぁ遠い遠い親戚になるから ガキの俺を連れて来たんでしょうね。元々大家族だったし。割りとデカイ家だし。
そしたらしばらくして 何か俺の両親の離婚が成立して俺は父親と2人で小さいけど近くのマンションで暮らすことになりました。
母親と暮らしていた時は スゲー汚い家でも 平気だったんでしょうね。ガキだったから。
アイツの家で暮らしていたときは 短い間だったけど アイツのお婆ちゃんが とにかく綺麗にすることを教わりました。
アイツと一緒にね。
朝起きたら石鹸で手を洗って顔を洗って新しいタオルで拭く。使ったら洗濯機に入れて洗う。パジャマを着て寝る。朝起きたらパジャマは脱いで幼稚園の服に着替える。幼稚園から帰ったら他の服に着替える。
当たり前のことを教えて貰いましたよ。
朝ごはんは家族でいただきますをする。
ご飯と味噌汁の位置。箸は箸置きを。右手で綺麗な箸使いをすること。
各自 醤油小皿 取り皿 使うこと。
おはよう いってきます ただいま おやすみなさい いただきます ごちそうさま
お風呂の入り方 トイレの使い方
年上を敬う 年下に優しく 家族を慈しむ感謝の気持ち 食べ物を粗末にせず 物を大切に扱う 衛生観念
もう ありとあらゆることを 教えて貰いました。
俺 何にも知らないガキだったから。
元々 母親の実家では厳しく礼儀作法教わった筈ナンスけど 多感な色々覚える時期に ほったらかしで サボりまくること覚えさせられちゃったから 自堕落なガキだったんでしょうね。
アイツの家は 爺さん 婆さん。アイツの父さん母さん 兄ちゃん 姉ちゃん。
みんな 俺を 家族として 優しく 厳しく 扱ってくれました。
爺さんの布団で寝たり 子供部屋で雑魚寝みたいに寝たり 毎日新しいことや 楽しいことばかりでしたよ。
家族でテレビみて わいわい騒いで
俺が父親と暮らすようになってもアイツの家によく行ってました。
おかずを分けてもらったりして。
そのうち 婆ちゃんやおばさんに料理を教わって 掃除や洗濯の仕方を教えてもらってね。
父親が亡くなったときも みーんな家族同様心配してくれて。
色々うるせぇな って思ったこともあったんスよ。親父亡くなったあと なんだかヤサグれちゃって。
学校もやんなっちゃって。
そんときね アイツが毎日独り暮らしの俺んトコ 来てくれてね。
婆ちゃんの作ってくれたおかず 持ってきちゃあ 黙ってそばに居てくれて。
メシって大切ですね。
外食や買った弁当は確かに 味付けも濃いし きれいに出来てるけど 味気ないんスよ。
よく母親が子供に毎日ご飯を作れば ヤンキーになったりしないって。
アレですよ。
アイツが毎日俺んトコに おかずを持ってきてくれたから 俺 立ち直ったんです。
あの飯の差し入れが無ければ 俺 高校にも行かなかったかも知れないんスよ。
アイツの家にはあまり行かなくなったけどアイツは俺と黙って一緒に居てくれて。
俺はどうしたら良いのかわかんねぇときはアイツが色々 アドバイスしてくれて。
そのうち アイツの言うこときいてりゃ 道を踏み外さないんだなぁ。って。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 173