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side 白田 華夜
電車の中からジジイ達に揉まれながら、ホームで手を振る廉を見つめる
横のジジイもうちょい離れろよ臭いんだよ
てか廉かわいいな。
かわいい。めっちゃかわいい。
俺が見えなくなるまで手振ってるのとかめっちゃかわいいマジで無理
電車が走り出す風で揺れる茶髪とか、大きい目をちょっと細めながら笑うのとか、手の振り方でさえ可愛い
ピコン、と鳴るスマホに目を落とせば廉からのメッセージ
『今日勉強教えてくれてありがとう(^ ^)』
( はい可愛い無理無理かわいすぎてしんどいアウト )
と、返信しそうになるのをグッとこらえて当たり障りのない返信をする
「はぁ…」
今日せっかく初めて話せたっていうのに
一年の努力を経て掴んだチャンスを絶対無駄には出来ないから慎重にいかないと
廉と出会った(?)のは一年前、入学式の時。
人酔いで潰れて道端に避難していた俺を廉のお母さんが保健室まで連れていってくれた。立ち上がる際にチラリと後ろを見ると少し離れた所で俺を心配そうに見る男の子。
あっちは俺と目が合ったのに気づいてなかったっぽいけど、春の日差しに照らされる淡い茶髪、平凡な顔立ちに心臓が一回大きく跳ねた。
それから保健室に行ってもあの男の子の顔が頭から離れなくて、家に帰っても、次の日になっても。
あの子の事を思い出すと心臓が痛くて、頭がふわふわして、変な病気になったかと思った。
それを打ち明けると一気にニヤニヤする母。
『華夜ちゃん。それは恋よ。一目惚れよ。』
有り得ない。俺が男に一目惚れなんて。
『華夜ちゃん…恋に性別は関係ないのよ…今から頑張らなくちゃね!ママ応援するわ!まず身長伸ばして筋トレからよ!!』
と意気込みだした母に絶句したのを今でもハッキリ覚えている。まず男に一目惚れの時点で納得するとか思って無かったから。
それから俺と母の計画は始まった。
セ○ビック飲んで身長がめっちゃ伸びた。と思いきやただの成長期だった。個人的にセ○ビックにはそこまで効果が無かった。
筋トレはできるだけ頑張った。腹筋はもちろんシックスパックまで、母から毎日チェックされた。思春期真っ只中ってのにな。
そうやってあの子にまた会った時のために頑張ること半年。なぜか出来た俺のファンクラブの一人にあの子の特徴を伝えるとすぐにわかった。
名前は山口廉
その時に名前まで可愛いと思ってしまう俺はそろそろ末期だ。
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