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四人の男
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何も分からないまま、男に手を引かれ、暗い廊下を歩いた。
「あの、あなたの名前とか、」
「俺?あぁ、俺も記憶が無いもんだから、自分の名前とかは無いんだけど、」
男がある扉の前で足を止めた。どうやらここが目的の部屋らしい。
「ここの奴らには一番って呼ばれてる」
彼の名前らしからぬ呼び名にも驚いたが、その言葉の続きに意識がいった。
「他にも、人が」
「うん、紹介してあげるよ」
一番は、扉をひらいた。
扉の先には3人の男の姿があった。
「なんだ、また増えたのかよ。気色悪ィ」
「よお、新入り〜。つか一番、四番がまたヒスってるぞ」
「一番貴様!俺の監視無く他の部屋を彷徨くな!貴様が何かを企んでいるのは分かっている、怪しい行動を見せればすぐに殺してやる!」
僕は再び、驚愕した。まるで先程の部屋で自分の顔を見た時のように。
「全員が同じ顔だけど、性格に個性が出てるから、分かりやすいよね。口の悪い男が五番、真ん中のヘラヘラしてるのが三番、奥の面倒くさそうな男が四番っていうんだ」
「紹介に悪意を感じるなぁ、よろしくな六番目」
声を掛けてきたのは、三番と呼ばれた、坊主と言っていいほど短髪の男だ。
「六番って、僕の事ですか」
「そうだぜボクちゃん、お前で六人目。ここ、まだ慣れてないだろ、色々教えてやろうか」
三番が、正面から距離を詰めてきた。身を引く前に一番が仲裁に入った。
「よせよ、三番。六番、気を付けて。こいつ節操無いから、男でも関係無いんだ」
「失礼な奴だな、俺だって好みぐらいあるさ。特にこの貧弱そうな六番なんて、超タイプだし」
悪趣味な冗談なのかも分からないような三番の言葉に、僕は眉をひそめた。以前の自分に同性愛に理解があったのかも無かったかも分からないが、三番の言動を不快に感じた。まるで女性を見るかのように、三番の視線が僕へと向けられているのが、たまらなく嫌だった。
「第一印象は最悪だな。良かったよ、三番が嫌われて。此処は頭のおかしい奴が多いから、あんまり俺以外に近付かない方がいいよ。君の部屋に案内してあげるから、着いておいで」
一番が三番の前から僕を連れ去る様にして、手を引いた。
部屋を出る途中、四番の金切り声と、三番から下品な野次が飛んできたような気がして、早々に歩みを速めた。
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