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ここの生活にも慣れ、一番と食堂で食事を取っていた。
「六番、また残してる」
一番が咎めるように僕を見る。
ここの食事は、美味しかった。メニューも日によって違うし、味に不満もない。ただ、量が多かった。
食べきることも出来ず、結局いつも五番に食事をまわしてしまうのは、確かに悪い習慣かもしれない。既に食べ終えた五番は、早く寄こせと言わんばかりにこちらを凝視していた。
視線に急かされ、食べきれなかった食事を五番に差し出す。一番は呆れたようにため息をついたが、それ以上は何も言わなかった。
「ごめん、一番」と小さく謝った。ある時を境にして、一番に対してだけ、敬語は外れている。一番がそのように望んだからだ。
しょうがない、と一番が小さく笑みを浮かべた。
「おい、一番」
三番の声が聞こえた瞬間、一番の顔から笑みが消えた。どこか苛立ちを見せた態度で、一番は三番に向かい合った。
「なに?六番と話してるんだけど」
「人の顔見てキレんなっつーの。・・・処理が済んだって報告な」
「・・・そうか。一応確認させてくれ」
真面目な話らしく、一番と三番は大部屋から出て行った。
話し相手を奪われてしまったので、途端に退屈な気分になる。
今大部屋にいるのは四番と五番だけだ。
(自分から、話しかけてみようか)
四番はいつにまして、謎のノートを書く手を止めない。今は集中しているようだ。
残るは五番だが、五番に話しかけるのは論外だった。髪を切ってくれた辺り、悪い人では無さそうだが、初対面のせいもあり、話しかけにいく度胸なんて僕にはない。勇気を出して、声をかけたとしても、「話し掛けてくるんじゃねぇ」とでも言われたらショックで立ち直れない。
考えば考えるほどこの場にいることが気まずくなり、ついに立ち上がり、大部屋から出ていってしまった。
一番に「一人で行動してはいけない」といわれたことも忘れて。
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