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昔話
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どこか、誰もいない場所・・・
まぁ、こんな部外者も来るような今の学校にそんな所ないのは分かってる
でも泣き場所が欲しかった
ただただ声を殺して泣いて、さっきの光景を忘れたかった
だって・・・あんなの俺、知らない
「あら、何がそんなに悲しいの?」
松野君と一緒にお昼を食べていた校舎裏
ここなら、と思ってきたのに先客がいた
「・・・使う?」
え?え??
この人・・・・・・さっき松野君の隣を歩いてた人
服装も横顔も一緒
間違い無い
「お隣いかが?」
とてもおしとやかで大人っぽい印象を受けた
話し方といい、手の出し方も
「・・・失礼します」
この人は俺の事知らないのかな?
「こんなに盛り上がった文化祭で、何が悲しいのかしら?」
「違うんです、これは・・・」
「愛おしい人を想っての涙?」
見透かされた!?と思って女の人をみると、くすくすと笑っている
どうやら冗談のつもりらしい
「まさか」
「正解なんでしょう?貴方、想い人がいらっしゃるんですね」
鋭い目つきで俺の目を捕えた
うわ・・・松野君の目に似てるかも・・・
「私の弟も、同じような顔で泣くんです」
淡々と語り始めた
遠い青い空を見つめながら
「好きな人が出来たって報告してくれたの」
「はい」
俺の事かな?なんてちょっと浮かれてみたり
「でも、なかなか上手くいかない事もあったみたいで・・・泣いて電話してきた事もあったわ」
俺と一緒だ
思いと行動がばらばらになって、勝手に傷付いたりした
「今日も弟に会ったの・・・それで、好きな人の事ばっかり話してくれた」
よっぽど好きなのね、ってくすって笑った
その笑い方も松野君に似てる
やっぱりお姉さんなんだ
ちょっと安心
「ちょっと幼い所があるけど頼りになる、笑顔が素敵で自分の前ではいつも笑ってくれる人、可愛らしいんだけど男前な所もある、カッコいい先輩だって」
ちょっと嬉しい
・・・俺じゃないかもしれないけど
「・・・・・・弟が惚れる理由が分かったわ」
「え?今なんて?」
「うんん、なんでも。それじゃあね・・・月影先輩」
すくっと立ち上がって俺の前を通って角を曲がった
・・・え?今・・・
「月影先輩?なんで俺の名前を?」
知らないんじゃないの?
なんで知ってるんですか?
聞きたい事がいっぱいあった
でも、もうすでに姿は見えなくなってしまった
俺の涙も姿を消した
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