アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
53
-
ようやく落ち着いて、俺は顔を上げた。
「ごめん、佑嗣…部活…」
「今日休みだったから大丈夫」
きっと嘘だ。
俺のために…
「帰ろっか」
「うん」
俺たちは屋上を出て帰宅する。
佑嗣は気遣ってか、グラウンドの方を通らない裏門から出ようと言ってくれた。
ほとんど会話することなく、家に着いた。
「明日も、無理して来ることないから」
「うん…」
「あと、ちゃんと目冷やせよ。腫れてる」
「ん…」
スッと佑嗣は俺の目尻に指先で触れた。
少しピリッとした。
「あの、今日のこと祥馬には…」
「何も言わないから」
「ありがと…っ。俺、佑嗣が幼馴染みで良かった…」
無理やり笑った。
佑嗣はなんだか痛そうな表情で俺を見た。
「俺のこと、かわいそうって思ってる?」
佑嗣は首を振った。
「心配してるんだよ。瑛翔は、無理するから………」
口を開いたけど、その先を佑嗣が紡ぐことはなかった。
でも、予想できる。
「本当は弱いのに…でしょ」
今度は無理やりじゃなく、少しだけ笑った。
そしたら佑嗣も少しだけ笑って、
「分かってるじゃん。お見通し?」
「ふっ…まぁね…」
二人で小さく笑い合って、佑嗣は俺が家の中に入る所まで見届けてから、帰って行った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
53 / 276