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「じゃあ…」
祥馬の横をすり抜けようとした時、祥馬は俺の腕を掴んだ。
「待てよ」
「離して…」
腕を引かれ壁に押し付けられる。
祥馬は衣装の首元を掴みぐいっと引っ張った。
「っちょ、なに…」
「消えたな」
すぐに何のことか分かった。
なんとなく嫌な予感がして腕を振り払ったけど、既に遅く、祥馬は前に噛んだ所に再び噛み付いた。
「いッ…!」
噛み付いて、離れない。
ギリギリと力が入っていき、歯が皮膚に食い込んでいくのが分かる。
左手は祥馬の右肩を掴み、右手で祥馬の後頭部を掴み離れさせようとするも上手くいかない。
その間にも祥馬は力を抜くことなく噛み続ける。
「い…たいっ…離し、祥馬っ…」
この間とは比べられないくらいに痛みが広がっていく。
バンバンと祥馬の背中を何度も叩く。
「痛い、痛いっ…!」
そして歯が離れたかと思えば、ぢゅっと吸われる。
「っ…!!」
「気に入らない…」
「え…?」
「…消毒しないで、膿んで、ぐちゃぐちゃになって、一生消えない傷になればいいのにな」
「な、に言って…」
祥馬は俺と一切目を合わせないで呟いた。
そしてこちらを向いた祥馬の表情は歪んでいた。
「治りそうになったらまた、噛んでやるよ」
そしてトイレから去って行った。
「どういう意味…どうして…ぃっ」
痛みを感じて鏡を見ると、そこには滲んだ真っ赤な血と、赤黒い鬱血の痕が付いていた。
「この間より酷い…」
触ると酷い痛みが走った。
でも…
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