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「へぇ…そっか」
スッと、祥馬の周りの温度が下がった気がした。
俺は思わず後退った。
祥馬は少しずつ距離を縮めるから、その度後ろへ下がって、トンと壁側の窓に背中が当たった。
急いで階段を上がろうとした時、右腕を掴まれてしまった。
「やだ!」
力一杯振るも腕は離されず、掴まれた場所が白くなるくらいに掴む力がどんどん込められていく。
「いた…ッ」
腕を引かれ、上半身が机に押さえつけられた。
重心が上半身にかかり、体を起こすことも出来そうにない。
「忘れるなんて、許さない」
「な、んで…」
首筋の傷パッドが剥がされ、かさぶたになりかけていたそこに爪を立てられる。
「痛ぃっ…」
「もっと、痛がれよ」
「な、に…いッ!!」
まだ治っていない傷に噛み付かれた。
口がそこから離れて、俺を見下ろす祥馬の唇には血が付いていた。
それをペロリと舐めとる姿に今は恐怖しか感じない。
ズキズキと痛む傷。
本当に、治らないで、膿んでしまうのではないかと思う。
かさぶたになって治りかけていた傷は再び、血が出るほどの傷になった。
「嫌だっ!誰かっ!んぐっ!」
大きな声を出したら、手で口を塞がれた。
「んー!んー!」
「暴れんなよ」
そして祥馬は俺の前髪を乱暴に掴んだ。
「こんな色…染めない方が絶対良かった」
「んんー!」
無理やり引っ張られて、痛みが走る。
目が合った。
その目は、何の色に染まっているの?
嫉妬?独占?愉悦?
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