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君が笑うから
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「ねぇ、憂太。なんか元気ないね?」
ぼんやりと窓の外を見ている君に、そう声をかけた。
『お前、相変わらず心配性だよね。大丈夫、元気だよ?』
そう言って振り返る君は笑っていて。
それでもどこか疲れたように笑っていて。
「本当に?大丈夫?無理してない?」
『してないって。耿ってほんと俺のこと好きな?』
「はぁ…?もう、人が心配してるのにすぐそうやってふざける…。嫌?い」
『あはは!ごめんて。……耿、ありがとな』
ゆっくりと、力を抜いて。君は優しく笑ってくれる。
嘘。
好きだよ。こんな風にからかわれて笑われてしまうくらいに、俺は君のことが好きだ。
そろそろ気づいてよね。
どれだけ俺が、君のそばであれこれしてると思ってるの?
『お、今日も弁当作ってきてくれたの?サンキュー!お前いい奥さんになれんじゃね?』
「いや、俺男だから」
『ん?…じゃあいい主夫だね。今の時代、男も家事できてナンボだから』
「そんなこと言って…憂太なんにもできないじゃん。俺が作らなかったら適当な食事するくせに。それに部屋だってすぐ散らかして…」
『あ?!はいはい!いいんだよ、俺にはお前がいてくれるから。全部お前がやってよ、俺の分も』
「………」
なんて。そんなことをなんでもないように言うんだよね、君は。
その言葉で俺がどれだけ振り回されてるのかなんて、君は知らないでしょ?
「は?……憂太こそ、俺のこと本当好きだよね??俺がいないとダメなんじゃない?」
あはは、と笑って。
冗談に聞こえるようにそう言って。
伝わればいいのにと願いながらそう言って。
『そうだね。俺はお前のこと好きだよ?お前がいないとダメかもしんない!』
そして君はニカッと笑って。いつもの調子で君が零すその言葉に、また俺は振り回されるんだ。
ほんの少しだけ君の目が真剣なのは、きっと気のせいなんだろうけど。
それはきっと、俺の願望なんだろうけど。
「あはは!じゃあもう俺たち離れられないね?もう少し大事にして?俺のこと養ってね?」
『任せて?俺を誰だと思ってんの?お前一人くらい余裕で養えるわ』
笑って、笑って。
そうして君が笑うから、俺はとても幸せなんだ。それだけで今は、とても満たされるんだ。
だから今日も、俺の隣で笑っていてね。
いつかその言葉が、本当になればいいのにな…なんて願いながら、俺も君の隣で笑うから。
君が笑うから、俺も笑っていられるのだから。
_____さてこれは。耿の中にある、憂太に対するふわふわとした気持ちが友情ではなく恋心であるという確信に変わった頃のお話し。
耿のこの想いの行く末は。ハッピーエンドか、それとも……。
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