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第2章
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七瀬の胸に、チリっと焼けるような痛みが走る。
御船は唇を重ねただけで、すぐに身体をおこし、
女を見下ろした。
「さあ、とりあえず今日は、もう帰りな。」
御船の甘ったるい声に、女はそれまで硬直していた身体をビクッと震わせ、みるみるうちに顔を真っ赤に染めた。
そして、顔を俯け、焦ったようにきょどりながら、早口でまくし立てた。
「そ、そうね!!きょ、今日は帰った方が良いわね。うん!!そうする!!
じゃ、じゃあ、また今度ね、待ってるわ御船くん!!
ラインするね!!」
そして、女はそそくさと逃げるようにして帰って行った。
御船はまだあの笑顔を浮かべている。
七瀬は、特等席の至近距離で
一連の事を見た後、重苦しいため息をついた。
………何という茶番だろう。
自分もとっとと帰ろうと、御船の身体から抜け出そうとした瞬間、そのままグイと引っ張られ、
スタスタと、あらぬ方向に引っ張られる。
「ちょ…っ、ちょっと待て!
どこへ行くんだよ。」
なんとか手から口を離し、未だ引っ張り続ける男に向かって怒鳴る。
御船は構わず、歩く速度を緩めずにズンズン進む。
「だからさっき、言っただろうが。
お前にお勉強を教えて貰うんだよ。」
「な……っ!」
七瀬は目を見開き、力の限りに身体を踏ん張って、御船の腕を思い切り、払った。
「ふざけるなよ!
おれはそんな事一言も言ってないって言ってるだろうが!!
勝手におれを巻き込むな!!
おれは帰る!!」
怒りでいっぱいになった七瀬は
踵を返し、とっとと立ち去ろうとすると、
御船の呑気な声が再び、七瀬の身体に腕と共にまとわりついた。
「図書館に行くんだろ?」
耳元に低い声が響き、一瞬、動きが鈍った。
しかし、そんな邪念と動揺を断ち切るように、
サッと顔を振り向け、にやけ顔に一瞥やった。
御船はさらに、七瀬の身体に絡みつき、耳に口を寄せる。
「…テスト前はいつも行くんだろ?
どうせ、一人なら、俺も連れてってくれよ。」
そう言いながら、御船の唇が耳たぶと、首に触れていく。
「ちょ…っ、お前、こんな所で、なにを…っ。」
七瀬は必死に暴れたが、今度は御船の身体はガッチリ外れない。幸い、周りに人はいないが、外であることに変わりない。
早く辞めさせなければ。
いつもの抑えた笑い声が聞こえる。
首筋にまたキスが落ちる。
「なあ、一緒に行くよな?」
「ふざけるなっ!!…っ勉強がしたいんなら、
女にでも教えてもらえよ!いくらでも、相手はいるだろうが!!
さっきみたいに色仕掛けでも、何でも、
使ってよろしくやってろ!!」
くつくつ、とまた笑い声が響く。
「…七瀬。行ってくれるよな?」
「…っ、だから!」
甘ったるい声が脳内に染み込む。
ーーーくそ…。この声本当に、きらいだ…。
七瀬の身体が怯んだ瞬間、御船は七瀬の頭を捕らえ、そのまま唇を強引に奪った。
「っん!んんぅっ!」
開いた唇に舌が入り込んでくる。
先程の女とのキスを目の当たりにしていた事もあり、七瀬は激しい拒否感を示した。
しかし、そこまでの身構えをしていなかった七瀬は、慌てて身体を離そうともがくが、当然、腕や手は外れない。
ーーーくそ…。馬鹿力が…。
こんな所で、こんなこと…!
御船の舌が七瀬の舌を捕らえ、吸い上げてくる。
七瀬を捕まえる腕も、さらに締まり、髪を掴む手も、解けてくれそうにない。
このままでは、息がもたない。
仕方なく、七瀬はありったけの力で、御船の胸をドンドンっと叩いた。
御船の唇がようやく外れる。
「ゲホっ…、ケホ、ケホ…っ。おま…え、
いい加減にしろ…!!ここをどこだと思って、る…。」
恥ずかしながらも、七瀬は御船の胸にもたれかかかりながら、その腕の中で咳きごみした。
御船は悠長に回した手で、七瀬の薄い背中を軽く叩いた。
「外だな。」
「殺されたいのか、お前は…。ハァ…、は、
こんな学校の近くの道路で…!
…人に見られたらどうするんだ…っ!」
七瀬は羞恥のあまり、顔を俯けた。
結果的に、御船の胸に顔を埋めるようになってしまっているが、今はしょうがない。御船が離してくれないのだから。
周囲にまだ、誰も人がいないことを祈った。
そして、同時に、
密着し過ぎて過剰になった、自分の鼓動が御船に伝わらない事を祈った。
「俺は別に構わねえぜ?
今更、痛くも痒くも無いからな。
困るのは委員長さまだけだろ?」
「…わかってるなら、さっさと腕を離せ。
立ち去れ。そして、二度とおれに顔を見せるな。」
「……。」
顔を上げられない。
ーーー早くしてくれ…、早く行ってくれ。
頼むから…。
目をつむり、御船の言葉を待つ。
御船は、小さくフッと笑い、無情に吐き捨てた。
「嫌だね。」
「な……っ、んんッ!」
思わず顔を上げた七瀬の顎を再び捕まえ、
口を塞ぐ。唇を舐められ、下腹部に電流が走る。
「ん…っう、な…ぁっ!」
「…お前が、一緒に図書館でオベンキョウしてくれるってんなら、離してやる。…どうする?委員長。」
「ぁ…っん!ふ…ぅ」
途切れ途切れに口を塞がれ、
その度に暴れていた七瀬はもうぐったり疲れていた。
その上、口内を探り、舌で弄ばれる行為に、
次第に足から力が抜けていった。
御船の舌が、じわりと歯列をなぞる。
そして七瀬の舌を掴み、再び強く吸い上げた。
七瀬の身体から完全に力が抜ける。
ーーーあぁ、ちくしょ、
「わか…、っわかっ…た、
一緒に行くから…、もう、やめろ…。」
足が震える。身体は僅かに痙攣し、鬱陶しい火照りが七瀬の中にたまる。
くたりと、崩折れそうになった七瀬をなんなく支え、
御船は晴れやかな顔で、ニッコリ笑った。
「じゃあ、行きましょうか。」
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