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第5章
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「おはよう、七瀬。
元気そうで何よりだ。走って来るとはなかなかお熱いね、お前も。」
「おれの質問に答えろっ!!」
七瀬は顔を赤くして、自分の肩を、首元を掴む手を強くした。御船は面白そうに首を傾げ、七瀬の様子を眺めている。
「な、なんだ…っ、なんだコレは。
一体どう言うつもりだよ…っ!?」
御船がニヤリと笑う。
「マーキング。」
「おまえ…っ!」
ギリギリと歯を食いしばって、御船を睨む。
その後ろからヒョイと長倉が顔を出した。
「やあ、おはよう、七瀬くん。
どうしたの?そんな怖い顔して。」
長倉の言葉に少しだけ、怒気を緩めて、七瀬は視線を移す。
「…おはよう、長倉。気にしないでくれ…、
おれはコイツに言いたいことがあるだけだから…。」
再び視線を戻す。
「おれを困らせてそんなに楽しいか…?御船。」
「楽しいね、俺が憎くてたまらないって顔しながら絡んで来るところが最高だ。」
「絡んで来たのはお前だろ!!」
「なあなあ、何の話だよー?」
長倉はハテナを浮かべながら七瀬と御船を交互に見る。
七瀬は顔を真っ赤にして、ワイシャツの首元を握りしめて俯く。御船はそんな七瀬を見て笑みを浮かべながら長倉に言った。
「七瀬は少し驚いちまっただけだよな?
俺がこんな事したから…。」
サッと七瀬を手繰り寄せ、御船はワイシャツを掴んでいた七瀬の手を掴み取り、首元を開いた。
御船はそのまま、その細い首元にカプリと噛み付いた。
「…あっ!…ゃめ…っ!」
そのまま七瀬の首に吸い付く。舌で舐め、牙を立てて痕を残した。
ぞくりとした刺激が身体をつたう。
七瀬は暴れたが、いつもの事ながらビクともしない。
長倉はポカンとしながらその様子を見やっている。
七瀬は全身真っ赤になりながら、やっとのことで
御船の腕を振りほどいた。
御船は唇を舐め、ニヤリと笑い涼しそうに七瀬を眺める。
七瀬の首元には赤いキスマークがきっちり残されていた。
しかも、残されていたのは、一つだけではない。
数えると全部で五つ、キスマークが七瀬の首元に赤く散っていた。
長倉は、ああなるほど…、と心で頷き、
『やっぱり何かしてたんじゃねーか』という視線を御船に送り、御船はフフンと悪びれもしない表情で長倉を見返した。
「お前…っ!よくも…」
よろめき、肩を震わせ、
七瀬が叫ぼうとしたその時、
後ろから只倉が息を切らしながらやって来た。
「なーなーせー!待ってくれよ!ホントに、ごめんって!」
ゼェゼェ汗を流し、苦しそうに話す。
誰?と長倉が首をかしげる。
七瀬は何だかもうやけになりながら、
力の限りに叫んだ。
「とにかく!!
おれはもう二度とお前に近寄らない!!
喋らない!!おれの半径5メートル以内に入ったらぶっ飛ばす!!二度とおれに変なちょっかいをかけるな!!誤解をされるような事をするな!!
おれには…おれには…!」
小刻みに震えながら、七瀬は半ば我を失いながら、宣言した、
「おれにはちゃんと!!
ずっと前から心に決めた"健全”な人がいるんだ!!お前につきまとわれたら迷惑だ!!
もう二度とおれに絡んだりするな!!」
七瀬以外の、3人がポカンと間抜けな顔で七瀬を見てる。七瀬は居たたまれなくなり、踵を返してその場を走り去った。
後に残された3人が互いに顔を見合わせる。
「…確かにちょっと、かわいいかもしれない…。」
長倉がボソッと呟いた。
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