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片思いを合わせて…
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「大切な、…話?」
掠れた声で御船が問いかけてくる。
七瀬は真剣な表情で頷く。
「…それで、俺が家を出た後に
わざわざ学校まで来たって?こんな、朝早く?
…何やってんだ、お前。」
御船が深く息を吐き出した。
参ったように頭を抱える。
「ふざけんな、そんなの
家でいくらでも出来るだろ?
俺に学校行けって強制しといて…、
もう勘弁しろ…、
病み上がりのくせに、そういう無茶をするな。」
心配してくれていることを嬉しく思うも、
七瀬はゆっくり首を振った。
「身体はもう大丈夫だ。それに、
駄目なんだ。
お前の家では、出来ない話なんだ。」
抱えていた頭を上げ、御船が七瀬に視線を戻す。
そして途端に表情が険しくなる。
「…へぇ?俺の家じゃ出来ない話?」
「そう、言いたくて、でもずっと言えなかった話。」
御船の眉間のシワが更に濃くなった。
しかし七瀬の真剣な面持ちに、また息を吐き、観念したように分かった、聞く、と呟いた。
「おれが、お前の行為を、初めて見た時のこと。覚えてるか?」
「覚えてるよ。」
あれは、たしか資料室だった。
先生に頼まれた荷物を運んでいた時に、
それを見た。
今でもまだ覚えてる。
御船の妖艶な姿はハッキリと。
女の子の嬌声も、その行為からなる卑猥な音も。
「お前のことは、入学当初から気にはなってた。
怖いくらい魅力のある男だと。自分とは正反対だけど、いつも飄々として、動じないお前に興味もあった。
お前についてる噂も知ってたけど、おれは話半分に聞いてるだけだった。
だけどあの時…、おれはお前を最低な男だと思った。
あんな所で、あんな事して…、
しかもそれを人に見られても悪びれもせずに行為を続けるなんて…。
おれの常識じゃ、とても考えられなかった。」
「そうだろうな。」
「おれは何度も頭の中でお前を罵って…、
忘れようとした。
お前にとっちゃ、よくあることなんだろうし、
見なかった事にすればいい、おれには関係ない事だって…。何度も…。
でも、忘れられなかった。
それが辛くて、悔しくて、お前を憎みさえした。
何が悔しかったかって、
それはおれが無意識のうちに、お前に抱かれてる女になってみたいと、思ってしまったからだ…。」
七瀬の視線は今はベッドの白いスーツを見つめている。
御船の顔なんてとても見れない。
御船は何も言わないので、怖くなってしまわぬうちに先を続けた。
「ずっと…、ずっとずっと、
虚勢を張ってたけど、本当は気付いてた…。
偉そうな事ばっかり言って、お前を…、
罵って来たけど、おれは自分に嘘をついて来た、
おれの気持ちは最初から、本当は何一つ変わってやしない。
認めたくなかった…、
認めてしまったら…、今までの自分は何だったのか、わからなくなりそうで…、
それに何より…。」
足が震える。
声まで震えて、視界もぐらついて来た。
駄目だ、しっかり、しっかりしろ。
「何よりお前が…、
離れていってしまうと…、
思ったから…。」
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