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片思いを合わせて… side 御船
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呼吸が、止まった。
涙をこらえ、必死に立っている七瀬を、
御船は動くことも出来ずに見つめる。
動きたいと思っても身体が言うことを聞かない。まるで電撃を浴びたかのように痺れてしまっている。
「お前をおれに繋ぎとめておくために。」
「…お前を、独占しようとしたんだ。」
「お前が、本当はずっとずっと、欲しくて、たまらなかった…。」
ーーー好きだ、御船…。ーーー
頭の中に響いて何度も再生される言葉。
これは本当に、現実か?
やっぱりただの俺の夢なんじゃないのか?
だって、ありえないだろ?
御船は痺れた身体を何とか動かし、きつく拳を作っている七瀬の手をとる。七瀬は驚いて咄嗟に身を引こうとするが、そうはさせないと、手首をぐいと引き寄せる。
「七瀬…」
「っ…、く、」
「七瀬、」
呼びかけると、涙に濡れた顔がゆっくりとこちらを向く。
ーーーあぁ、また悪い癖を…。
もう片方の手で七瀬の噛み締められた唇をなぞる。
七瀬はそれを見て更に苦しそうに泣く。
あぁ、綺麗だ。
泣き顔も、強がりも、癖も、なにもかも、
あまりに綺麗で、
「…おまえは本当に馬鹿だ。」
そう言うと、一瞬七瀬の身体が強張った。
その隙を突いて、
御船は一気に七瀬を抱き寄せる。
咄嗟のことで七瀬は態勢を取れず、御船の胸に思い切り飛び込んだ。すっぽりと、御船の足の間に収まってしまった状態から、慌てて逃げようとするが、御船はその身体を強く抱きしめ閉じ込める。
「動くな。」
「っ、」
「そのまま、動くな。」
腕の中で、七瀬がちいさく震えてる。
ときおり、嗚咽が聞こえてきて、御船の胸はどうしようもなく高鳴る。
ーーーホント、馬鹿だろ。
こんな男に、あんな事を言うなんて。
こんな男に、許しを乞うなんて。
こんな男の為に、泣くなんて。
愚かとしか言いようがない。
俺が今、どんなに歓喜に震えているかも知らないで。俺がどんなに歪んだ恍惚を感じているかも知らないで。
「七瀬、このまま、聞いてくれ。」
今は俺の顔を見て欲しくない。
このまま…
「今度は俺の話を聞いてくれ。」
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