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片思いを合わせて…
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喉が、熱い。
目頭も、胸も、掴まれた手首も、
なにもかも。
けれど、
ーーーいま、俺の心の中にあるのは、
震えるほど熱い、
歓喜だった。
御船の懺悔のような告白も、
狂気に近い言葉も、選べというのとは裏腹に、
力強く七瀬を離さない大きな手も、
何もかもが、七瀬には甘すぎるくらい魅力的な毒だった。
痺れて、身体も声も出なくなるくらいの。
「…っ、」
言葉が、出ない。
御船は黙ってる。
ーーー早く伝えなきゃ。
あの告白に自分がどれだけ、痺れたか。
どれだけ熱く、満たされたか。
自分も御船の同じくらい、歪んでいることを。
御船が、離れていってしまう前に。
彼は今本気で、七瀬を離そうとしている。
七瀬を想って、償いを込めて、
身を引いてしまおうとしている。
ーーー望んでなんかないくせに、こっちの動きをなぞるような視線で熱く注ぐくせに。
握ってくる手は行くな、ときつく握りしめてくるくせに。
心と身体が、矛盾だらけのクセに。
「…、っ、ぁ、」
ーーーダメだ、うまく言えない。
七瀬の瞳からハラリと涙が零れ落ちた。
目の前の御船が歪む。
ーーーあぁ、愛しい。
こんなに真っ直ぐ自分だけを見てくれる御船が。
自分の声だけを待っていてくれる御船が。
自分だけを、求めてくれる御船が。
俺だってもう、とっくの昔から、
お前に狂ってる。
「…み、ふね…っ、」
「ん、なんだ。」
「ひとつだけ…、お願い…。」
嗚咽を飲み込み、何とか言葉を繋ぐ。
「もう二度と…、おれへの当てつけに…、
他のヤツを、抱いたりするな…っ、」
歪んだ視界で、
御船の瞳が、驚いたように見開かれた。
七瀬は構わず続ける。
「男でも、女でも…。
もう、…あんな思いは、ごめんだ…、
嫉妬で…、死ぬ……。」
滲んだ視界の中の御船の顔が、更に歪んだ気がした。
七瀬ははらはら涙を流しながら、
御船のシャツにしがみついた。
「お前が好きだ…、お前が、おれから、逃げたくなったって、おれの方が離さない。
好きだ…好きだよ、御船…っ。」
言い終わる前に、御船がきつくきつく、七瀬を抱き締めた。
そして聞こえるか聞こえないかくらいの声で囁いた。
「…て、」
「え?」
「…キスして。お前から。」
いまだ強く抱きしめたままで、御船が言う。
七瀬は身をよじりながら、御船の顔に手を添える。
涙に濡れた顔で、
離れたくないという一心で、
想いをのせて、
「好きだ、徹。」
と、触れるだけのキスをした。
御船が固まる。
七瀬を抱き締める腕が、震えた。
そして低い声で呟いた。
「…もう遅いぞ。」
「…わかってる。」
「もうチャンスはやらない。」
「そんなものいるか。」
「絶対に、逃がさない…。」
「わかってる。」
「どうなっても良いんだな?」
ふっ、と微笑んで、
七瀬は小さく頷いた。
「…良いよ。お前と一緒なら。」
その一瞬のちに、
御船が喘ぎとも呻きともとれる声を漏らして、
やっぱり震えた声で、
お前は本当に馬鹿だ、と、
そして、
「愛してる…、智紀。」
七瀬の身体をベッドに倒し、
噛みつくようなキスをした。
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