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図書室
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side紬
シャーペンを握った右手に息を吹きかけながら勉強をしている姿が、なんとなく気になった。
放課後も暖房が入っているこの部屋だが、電気代をケチっているのか、充分に効いているとは言えない。
左手はこの数分、スラックスのポケットに入ったままだ。
『あげる。』
彼の右手をカイロ越しにぎゅっと握った。
気になりはじめると、話しかけてみたくなった。
どんな顔をするのか見たかった。
声を聞いてみたかった。
「えっ?」
驚いた。困った。
そんな顔。
そんな声。
肩越しに、一瞬見えたノートには、去年頭を悩ませた計算式が少し小さめの文字で記されていた。
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