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今日の話
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ふぅ…と一息ついたかと思うと隣の男は流し目で俺を観ながら話し始める
「先程は急に話しかけたりしてしまってすみません、イヌサフランは毒があるんですよ」
イヌサフランというのはさっき俺が触ろうとしていた花の名前だろうか…
こんな小さな花に毒があったのには驚くがそれ以前にこんな雑草の様な花の名前を知っている彼に感心してしまう
「それにしても、 この子の開花時期は9月頃なのにこんな時期に咲くなんて珍しいですよ」
慌てん坊さんですねクスリと咲いながら愛おしそうに花を見つめる彼を見て、女はこういう男が好きになるんだろうなぁ…などと考える
身なりもいいし、ここから大学も近いきっとどっかの学者さんだろ
そんなことを思いぼーっと名前も知らない彼を眺めていると再び目が合ってしまう
「貴方、こんな真っ昼間にこんなとこでどうしたんです?」
痛いところをつかれたため言葉に詰まる
きっと普段なら、それさえも何気ない会話で終わってしまうだろう…
しかし、今はそれさえも憂鬱な気分になってしまう…
しばらく雨の音だけが二人を包む
きっともう彼とはこれっきり会わないだろう
そう考えると別に話してもいいかなと思い始める
そう、これはたんなる気まぐれでしかない…
それから俺は今までのこと今日さっきまであった事を葉から葉へ落ちていく雨の雫のようにポツリ、ポツリと話し始めた
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