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雨上がり
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あのあと、女じゃなくていいから他の式神は居ないのかと聞いてみたがやはり、アイツしか残っていないらしく彼は優秀だからとなだめられ半強制的に病院から出された…
渋々出口のドアを潜り外に出ればあれだけ降っていた雨はいつの間にか止んでおり青空が広がっていた
まるで、 空の大掃除で雲を見えないところに掻き集めたようにも感じる
諦め混じりに一つ小さく息を吐き俺の後ろを歩く男の方を見た
「なぁ、お前名前は?」
名前を聞いただけなのに何故かこの場に気まずい沈黙が流れる
普通これから少なくとも2ヶ月は一緒に過す人間に名前を聞くのは当たり前だろう
少し悩んだ素振りを見せた男はコツリ…コツリ…と俺を横切り階段を降りていく
全て降りこちらを振り返れば哀しそうに微笑まれた
ただ名前を聞いただけなのになぜそんな顔をするのだろう
「式神ひとりひとりに名前は無いんですよ」
あぁ…そういうことか。
そんなかなしそうな顔しないでくださいなんて笑うけど少し申し訳ないような気持ちになる
でも、やっぱり名前が無いのは不便だ
何かいい方法は……、少し考えて見た
「それじゃあ、俺がおまえに名前を付けてやる」
一瞬なんのことか分からなかったのかエメラルド色の瞳は大きく見開かれ驚いた顔でこちらを見てくる
が、数秒の沈黙のあと我慢しきれずに吹き出されてしまう
人がせっかく彼のことを思って言ったというのに笑うのはおかしいだろ
顔に出ていたのか笑いが治まった彼は俺を見てすみません…っと一つ咳払いをし姿勢を正す
「なら、私にとびっきり素敵な名前を付けてください」
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