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4/23 22:00
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耳元で、刃物が音を立てた。
瞬間、しゅるり、引きずり出される。
狂気を含む不気味から、血みどろの部屋から、裸の肢体の視線から。
あの、鋏の音が自分を扉の外へ引き戻す。
猛スピードで体が扉から出ると、目の前にあったはずの扉は跡形もなく消え去った。
そして盛大に尻もちをつくのだ。
「いたた…」腰から尻をさすりながら、立ち上がる。
360℃見渡してみるが、やはり今まで自分が入っていた扉はもうない。
(まるで走馬燈だな…)
少し前に今日はどこの扉に入ろうかと考えていた時に、突然前方に灰色の扉が現れた。
結多が奇妙に感じたのは、いきなり出現したからだけではない。
扉には通常、その主の全てが反映されている。
父親が浅葱色で魚が沢山描かれた扉だったように。
しかし、出現したそれはただ灰色で模様や飾りなどは一切なく、ただひと昔の手術室の入り口のようであった。
以前にも何度かこういった扉は見たことがあるが、何処か引っかかる点が多い。
そして、何より夢から引きずり出されたこと、扉の消失、これに関して、生まれてから一度もないのだ。
「…何だったんだ?」
結多は今までとは違う感覚に動揺を隠せないでいた。しかし、いつまでもうじうじしてれば今度は包丁男が来てしまう。
早く別の扉に入らなければと足を動かした。
と同時に、誰かの手が肩を掴んだ。
体中血の気が引くのを感じた。こめかみに汗が一筋流れる。
遅かった…そう、感じた。
しかし、「大丈夫か」と耳元に届いた声は、いかにも日中に聞いた懐かしさを帯びていた。
「午前ぶりだね、ヘビイチゴ」
・・・・・・
【更新】
2~4Pのタイトルを時間表示にしました。
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