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「それはこっちのセリフだ!えーと…」
ビシッと向けた人差し指がだんだん自信なさげに萎えてゆく。
(そう言えば、この人の名前聞いてなかった…。)
「カイム」
「は」
「カイムだ。絵画の『カイ』に舞うって書いてカイム。名刺置いといたはずなんだけど」
これ、といつの間にか彼の人差し指と中指の間には青い紙が挟まっていた。
確か、眠る前に一瞬目に留まった青く艶やかな紙と似ていた。
「!それ」
「お、やっぱり気が付いたんだ。ただ、その様子を見るに…文字まで読んではないか」
ずいっと、『白』______カイムの顔が近づく。
あと2㎝くらいで鼻と鼻がくっつきそうだった。現に彼の長いまつ毛が皮膚に当たってくすぐったくなる。
(ち、近い…)
カイムがじろじろとしばらく結多の顔を覗くと、パッと距離を戻す。そして「よく見た顔だな」と真顔でボソッと呟くのを聞いて、結多は(そりゃ、あなたみたいな顔はこの日本にそうそう御座いませんよ)と、内心カチンとくるのだ。
しかし、言い返す暇もなく、カイムが次の質問に移る。
「これは全部、君が?」
「え、ああ…これは…」
遠くからこちらに走り寄って来る音が聞こえた。
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