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「‘今日は…良い日ですね。…あなた…父と母…会う…な日ですから…晴れ…思っていました’」
少しずつこちらの国の古代語を覚えてきたサラン。侍女としか話していないのにこの理解の速さ。覚えの良い子供であるためか、はたまた廊下でサランを卑下する家臣と侍女たちの声をいつも聞いているからか。
「はい。今日がお父様とお母様に会える日なのですね。‘ありがとうございます’」
「‘どういたしましてサラン様。こちらに…来てください…新しい…を…用意…いただきましたので’」
とことこと侍女について行くとそこは衣装室だった。
「(なるほど、新しいお洋服を用意してくださったのですね)」
女性の服を着ることに少しずつ抵抗がなくなったサランは、用意された品を見て驚く。
「ま、まあ、、なんと美しい衣装ですか…わたしなどが着て良いのかしら…」
「‘良いですよ’」
そこにあったのはワンピースだった。一見シンプルに見えるが、レースがふんだんに使われることによって冷たい印象を与えない。とても上等な素材なのだろう。触り心地が良かった。
そして1番目を惹くのは、色とりどりの花だった。胸元とスカートの裾にこれまたふんだんにあしらわれている。
「あ、あぅ…」
両親が来るためとはいえ、このような服をもらえるとは思っておらず、自分が着たことを想像すると恥ずかしさが出てきた。
「(王様は…なんとおっしゃってくれるでしょうか…)」
「…」
そして王に惹かれている自身の心にも気づかなかった。
「まあサラン!元気でしたか?」
「っ!お母様っ!!!お父様!!!」
フィオリ王と共に庭へ出れば、バラ園の中心でレミルと会話する両親の姿。
サランは王の前ということも忘れて駆け出す。
父と母の胸に飛び込めばにこにこと、見たかった2人の笑顔が近くで見えた。
嬉しくて嬉しくてぎゅうぎゅうと抱きついているとそっと後ろへ引っ張られる。
「妬くぞ?サラン」
「えっ」
いつもの冷酷な表情と違い、誰もが惚れてしまうような微笑みを浮かべたのはフィオリだった。
サランは、ぽんっと音を立てそうなくらい赤く頰を赤らめる。これは嘘。今の王様は偽ってわたしに囁いているだけ!そう思ってもどきどきと胸の高まりはおさまらない。
「ようこそソア国王、女王。我はハーシュッド国王を務めますフィオリです。この度は…」
サランは久しぶりに聞く王の声にうっとりとしていた。「(王様の声です…優しい声ですっ…嬉しいです…)」
両親とフィオリが話を終えたようで、サランは母に抱きついて庭の散歩を勧めた。
フィオリとソア国王は2人、レミルが煎れていった紅茶をチェアに座り飲んでいた。
「…フィオリ王よ。あの子はどうですか。見たところ元気そうでホッとしました。しかし、あの子は寂しがり屋なところもあるので……、?フィオリ王?」
紅茶を置き、顔を伺うとなんとまあ、サランから目を離さずじっと見つめる男の姿があるではないか。
ソア国王は父として、息子の旦那に思わず微笑んでしまった。
「?…!…申し訳ない。話の途中でしたな」
フィオリはハッとしてソア国王に謝罪するがソア国王はもう満足だった。
最初は魔王の国へ可愛い子を嫁に出すことに不安しかなかったのだから。けれどそんな魔王は今目の前で息子をなんと優しい目で見ていたことか。
「あの子のこと、任せましたよ。」
「…ええもちろん…」
フィオリは不思議な気持ちになりながらサランにまた視線を移す。
そのころ母親の手を引いて走り回るのサランはきゃっきゃっとはしゃいでいた。
「こらこらサラン。怪我をしてしまいますよ?母は心配です。ふふっ」
「お母様っ!ふふふっ」
走るたびにふわりふわりと揺れ跳ねるワンピースはサランによく似合っていた。
母親似の美しい子に育ったためかサランにはスーツよりも花など、可愛らしいものがよく似合う。
2人は走り回った後、そっと芝生へ座り込み、花冠の作り合いをしていた。
「サラン、ここの生活はどうですか?慣れましたか?幸せですか?」
「…はい!」
「…?そうなの?本当に?寂しくはない?」
「…はい!わたしは元気です」
「そう…。フィオリ王は優しい?」
「っ、えっと…」
ぽんっ。
「まあまあ、クスクス、ふふっ、あなたは彼に恋をしているのね?母はもっと仲が深まることを祈るわね?ほら、出来ましたよ」
花かんむりを頭に乗せたサランは恥ずかしそうに、けれど嬉しそうに笑いました。
そして
「お母様っ!わたし、聞きたいことがあります…あの…どうしたら王様にご奉仕できるのでしょう??」
「…?」
「あの、王様に気持ちよくなっていただきたいのです…でも、、あまりわたしは好かれていないようで…身体に触れさせてもいただけないのです…」
「!…まあ…まあっ」
母は赤くなってしまい、俯く。まさか夜の営みの話が出るとは思わなかった。
「どうしたんだい?ステラ」
「ーー?どうかしたのか」
ちょうどそこに現れたのは2人の旦那であった。母ステラは恥ずかしそうに口元を隠し、サランは王に聞かれたのかどうかハラハラして固まってしまった。
「「?」」
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