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「あっ、ダメですっ!やんっ、痛い…」
暖炉の前ではだけた姿のサランは生まれた子どもに乳を吸わせていた。
「よしよし、いい子ですね、っひゃ!」
片方の乳に痛みが生じ、片方の乳にはこそばゆい感覚が生じる。
子どもは、2人も生まれたのだった。
それに見た目は人間ではない。子猫のような耳と尻尾を持った子。本物の猫のようだった。
現に
「キャウキャウ」「ッシャ!ギャウッ!」
動物の鳴き声をあげている。
「うふふっ、美味しいですか?」
しかしサランはその点においては全く疑問を持っていない。というのも、生まれたばかりの赤ん坊を見たことがなかったのが原因だ。
そして、この子どもたちにはもう1つ特徴がある。それは
「あら、まあ…とっても綺麗だわ」
初めて目を開けた子どもの瞳は、まさにフィオリ王の色。紺碧の瞳。毛並みは2人…いや2匹とも純白なのだが、瞳に違いがある。
1匹は左目に鼈甲色、右目に紺碧の瞳。
1匹は右目に鼈甲色、左目に紺碧の瞳を持った。
まさに双子、という気もするが、なによりサランが嬉しかったのは、2匹の瞳に、自分の瞳と同じ色が入っていたことだった。
「本当に、わたしの、家族っ…」
感極まり泣き出した姿に2匹は首をかしげるだけだった。
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「…?今…」
「どうしましたか?」
老婆は優しく男に問いかける。
子を見つめるその瞳はまるで親そのものだが、彼らに血の繋がりはない。
「いえ、どこかで俺の家族が鳴いたのです!俺は兄様と違い聴覚に優れていますのでね。
ねぇシエル様、家族に会いたくなっちゃった。この魔法が上達したら故郷に戻っていいかい?」
「ええいいですとも。ここに居座れと言ったことはありませんよ?あなたはただ私と出会っただけですからね」
「シエル様ありがとう!俺シエル様に会って魔法を教わって幸せだよ!」
「そうですか…ふふ、嬉しいものですねぇ。じゃあそろそろ練習でもしようかしら。アーサーは早く可愛い家族に会わなければいけないのですから」
「や、やっぱりシエル様はすごいや…なんでもお見通しなんて。あははっ!俺魔法がんばりますね!」
青年は鼈甲色の瞳を細めてほがらかに笑った。
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