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レミルは王の帰りを待つために城門と城の間にある庭園にいた。入浴後は書斎で仕事をしていたフィオリだったが、思い立ったことがあったらしく、外に出てくる、と、脳に直接声をかけてきた。
だから、こうして主人の帰りを待っているのだが…
少し遅い。案件が長引いているのだろうか。
そう考えていると、高さが10mほどの門が開き、フィオリが現れた。何もせずとも門が閉じる。
魔法を使ったようだ。
「王よ、おかえりなさいませ。昼食が準備できましたよ。
廊下の途中でアーサー様ともお会いしたので、
先に向かうように伝えておきました」
新たな案件の承諾を終え、港から戻ってきたフィオリ。
潮風の吹く街に出向いたためか、レミルの鼻を微かに磯の香りが漂った。
「今帰った。…ああ。もうそんな時間か。では書斎に書類を置いてから食事室に向かおう」
共に歩き出した2人。
レミルはフィオリが手にしているものの中に書類以外が含まれていることに気づいた。
いや、遠目からでも分かってはいたのだが
フィオリは民の人望が厚い。そのため出歩くフィオリに
畑で採れた野菜を…
今獲れた魚を…
貿易で得た宝石を…
など、無償で民が与えてしまうことが多々あった。
だから、今日も何かをもらったのかと思っていたのだが。
「包装…してあるのですね」
「、サランはまだ機嫌が悪いのか?…これは気分転換になるかと思って買ってきた。土産屋が選んでくれたのだ」
ああ、サラン様用のプレゼントですか。
可愛らしいところがあるじゃないですか。
「ふふっ、サラン様はもう落ち着いておられますよ。
昼食も共に摂りたいと。待っておられます。
何を買ってこられたのですか?」
「そうか。急ごう。
これはブランケットらしい。土産屋の女将の話によると、赤子を産んだばかりの母親に落ち着けるものがあると良いと。それで、今1番売れている商品だと推された。
肌触りが良いと…あとは、軽い」
「そうなのですね。きっと喜ばれますよ」
「だといい」
土産屋にぐいぐい、と商品を勧められて困惑する王の想像が簡単にできてしまい、少し笑ってしまったレミル。
今までは、そんなことは想像し難い性格だったのに。
本当に変わってきている。
(ふふっ…愛は偉大ですね)
早歩きで廊下を進むフィオリの背を笑って見た。
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