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食事を終え、改めて書斎に戻った4人。フィオリは今後の政策をサランにも伝えたかった。今までハーシュッド国の政治や動きを把握できなかったサラン。これからは夫婦としてもだが、国の王、その妻としての役目もある。
この発言を機に、混乱を招くかとも考えたが
早くから知らせて情報を与えることで周りの状況を確認できたら良いと思った。(我だけではなく、レミルとアーサーと脳内会話をして判断した)
書類の乗った机を挟み、フィオリは3人に向かって説明する。
「今、我らが目標とする政策は、有能な民の手を借りることだ。サラン、以前話したように、この城で働いていた者はいないだろう?あれは、無能であったから捨てたのだ。この数百年間も雇用していたのだが
…成長しなかった」
サランはびっくりした顔をしたが、こくこくと頷く。
「あのタイミングで従者を切り離したのは、国の貿易や産業に滞りが出てきたと、民からの申し出があったためだ。不満を言われなかった時期はないが、今年は多くてな。
そこで、半年前…眠るサランを見て思い出した。サランの母国こそ、民の力を使う政治をしているとな」
「?…ソアが、ですか?」
サランはソファーに腰掛けながら首を傾げる。
余談だが、この部屋にもともと椅子などはなかった。サランのために1人掛けソファーを用意したのだ。
今はそこにサランが座り、その横で囲むように2人が立っている。
「ああ。サランが目覚めなかった間、ソア国ともやり取りをしていてな。あなたの国の王子に傷をつけて悪かった、と謝罪もしつつ」
眉を少し下げるフィオリ。
その姿にまたもや驚くサランだが、これもうなづくだけで話に真剣のようだ。
「言い方は悪いかもしれんが、ソア国は民の利用の仕方がとても上手だ。
とくに防衛団のシステムが我は気に入っている。
民の成績、特質、体力を総合評価して、最後にその者の意思の強さで採用を決めるというところがな。
ハーシュッドでは、ソア国のように平等ということは無い。魔力のある者、無い者に分類される、世界でも数少ない人種がいるところだ。ソア国をはじめとして魔力を持たない国がこの世の98%を占めるだろう。魔力を持つと知られている国はあと5つ程ある。
そんな力の差が生まれる国では、権力者はいつも魔力を持つ者だけ。努力しようとも、魔力とは遺伝。
無い民がほとんど。…つまり、いつもこの国を統一するのは魔力のある我らハーシュッド家であるのだ。
つい半年前にいたここの従者たちは、あれでも過去には魔力の血を色濃く受け継いだ者たちだったのだが…消えていったようだ。
この国は、いつも力があるだけで王として扱われた。もちろん反乱があった時期もあったが。
そのため、魔力を失って、力だけで生きていただけの従者たちは無能だとわかった。民はあんなにも汗を流して働いているのに。あんなに多くの人数が、多くもない書類に時間をかけてのうのうと生きているのだと。
この世を生きるのは、遺伝だけではなく
今生きている者一人一人の能力が大事なのだと」
そこでフィオリは数枚の書類をサランに差し出す。
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