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その書類は、共通語で書かれていた。
「法務部、財政部、外交部、産業部、環境部、厚生部の人員募集。希望者はⅡ類の手紙で申し込むこと。成績、面接態度で判定し、合格者は城内各部で勤務となる。詳細は、以下に述べる…」
サランははっとしてフィオリに顔を向ける。
「これは…ソアの制度を取り入れて…?」
「そうだ。…ソア国のように、民が己の国を守る、統制する未来を作りたい。我らハーシュッド家もいずれはこの魔力が絶えるからな。
だからこそ、王の象徴だけに留まらず、今後の民の自立のために変わりたいと思う。
サラン。共に改革したいのだ。
我らとこの国のために尽力してくれないか?」
サランはカッと体が熱くなるのを感じた。
燃え上がるような興奮。この人が望むものに応えられるのだろうか…。ついていけるかわからない怖気。
でも、それを超える、「この人のために何かしたい」という気持ち。
「…はいっ、わたしに、お手伝いさせてくださいませ…っ、王様…!!」
「…そうか、ああ…。よかった。ありがとう」
フィオリが微笑み、安心したのか椅子へ深々と沈む。
サランはなぜか、一言しか発していないのに感じる充足感とわずかな疲労を感じた。
(この方のために、わたしは…)
「よかった、お姫さま、頑張りましょう!」
「ふふっ、私も協力いたします。
王、サラン様、アーサー様」
「ああ」
「はいっ」
綺麗に細まったフィオリの瞳と目が合う。
心がばくばくと嬉しそうに音を立てた。
(ふふっ…なんだって、できそうです)
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