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サランとフィオリが部屋に花を飾りに行っている頃。
レミルは書斎で大きく上等な紙を敷き広げた。
アーサーは白亜でできた美しい筆を持ち、なにやら思案している。
「レミル、こう、したらいいんじゃない?」
アーサーがスラスラと書き込んでいくと、レミルは頷く。
「では、民の働く新しい部屋を各部署ごとに1部屋用意しましょう。あと、図書館も置きましょう」
「じゃあそれは1階だね。ふふ、図書館だけで1階のほとんどがスペース埋まっちゃうね」
「ええ、大量の資料や本がありますから」
「2階はパーティー会場に全部しちゃえば?」
「ふふ、それはやりすぎですよ。客間なども置きましょう」
「あはは、じゃあ1階に応接間を1つ作っておこうよ。2階まで上がらせるのも大変だろうし。きっと客人が来たら受付係?さんが案内してくれる気もするんだ」
「ふふ、事務に就く方のことですか?それもそうですね」
「レミル、2階までは想像がついたけど、この城、5階まであるよ。他の階はどうしよう?」
書き加えながら談笑していると、
その時、扉が開く音が。
「…?何をしているんだお前たちは」
そこに現れたのはフィオリとサラン、子どもたちだ。
「ああ、王よ、再構築の案を練っておりました」
「兄様、このように図案してみたのですがいかがでしょう」
「そうか。…」
大理石の床に大人が3人しゃがみ込む姿にサランは首を傾げた。(なにをなさっているのかしら…)
興味が湧いたのはサランだけではない。
「キャウー!」「ガーウッ!」
ぺたぺたぺたっ
2匹は尾を振りながら3人に向かって突進していく。
「2人ともっ、ふふ、気になりますものね?」
サランも覗きにいくことに。
「お城の、間取りでしょうか?」
「はい、お姫さまっ!そうなんです」
「このお城を作り替えようと思いまして」
アーサーとレミルが返事を返す。大改造?とても規模が大きい考えにサランは呆気に取られたが、とても楽しそうだと思った。
「まあ、素敵ですね」
サランがにこにこするとフィオリは大改造を取りやめるなどするはずもない。レミルはこの案が通ることを悟った。
フィオリがあの会話の中に入ることで、どうやら早く話がまとまったようだ。
「サラン、どうだ?これからは3階に部屋が移ることになる。1人部屋だ。子どもたちのベッドを入れるにしても狭くはない」
「王様は…?」
「同じく3階に我も、レミルもアーサーの部屋も置くつもりだ。この、書斎の部屋も」
「わたしの、お部屋の近くですか?」
「ああ…」
「よかった」
ほにゃっと、サランが嬉しそうに笑う。
この反応にはさすがの3人も考えることが似る。
「「「…」」」
(お姫さまって可愛らしい人なんだ。兄様、今絶対お姫さまをお嫁さんにできたことに興奮してるんじゃないかな)
(サラン様…そのような発言はいけません。大変愛らしくはあるのですけれど…この男の独占欲が上がって逃げられなくなりますよ)
(…可愛らしい…我は、我慢できるのか…襲ってしまうのではないか…だめだ、手を出したら約束が守れなくなる……部屋を遠ざけた方が良いのでは)
「ふふ、いつお城を工事なさるのですか?きっと大工さんは何年もかけた大きなお仕事をすることになると思うのですが」
「その心配はない。今から行う」
「えっ?」
「私たちが魔法で変えるのですよサラン様」
「すぐに終わらせますね、お姫さま」
魔法で?ソアでは、いや、一般人では考えられない発想にサランは驚く。てっきり大理石を切断したり積み上げたりして新しくするのだと思っていたのだから。
大きな魔力を使いすぎて、3人は倒れてしまうのではないか…不安になる。
「サラン、心配しなくていい。ソファに座れ。子どもを抱えているんだぞ?」
「はい、」
子どもを腕の中に収めて座れば3人が古代語で呟く。
紙にフィオリの指が滑らかに滑った時、淡く青色の炎が見えた気がした。
次に起きたのは地震のような揺れ。2匹は怖がりサランも腕の力が篭る。
窓の景色が変わった。上昇している。それに、横に移動している。部屋の外からはゴゴゴ、と石が動くような音が響く。窓が割れたり物が壊れるような音は一切ない。
しばらくして揺れも音もなくなったとき、「よく我慢したな、」とフィオリが子どもたちの頭に触れた。
「王様っ」
わずかに汗をかいているフィオリ。火照っているようだ。
体調を心配して声をかけるとフィオリは一度微笑み
「サランも。怖かっただろう」
と労るのだ。
「王様は、お疲れではないですか?」
「…そうだな…少し休んで来る。その間に子どもと城の中を見てくるといい。変わっているから」
フィオリは部屋を出て行った。
「レミルさんもアーサーさんもどうぞお休みください…あとでお水をくんで行きますから」
サランは2人を見つめるが、レミルがとても疲れているように見えた。
「ええ、お言葉に甘えて失礼します。私の部屋は書斎の隣ですから。何かあれば呼んでください」
レミルも退室した。
「アーサー様も、どうかお休みください」
「ありがとうございます、お姫さま。でも、俺はあまり疲れていませんから、お城散策と、レミルにお水を出しに一緒にいかせてください」
「は、はい。お身体は大丈夫なのですか?」
「はい!レミルは構築を得意とする操作魔法のプロ。兄様はそのレミルのサポートと一緒に、この城に張ってある結界を調節したり重力に逆らう力魔法を使っていたので疲労が大きいんです」
2人は廊下へ歩き出しながら話し続ける。
「ギュー?」「キャウ?」
なぜアーサーは疲れていないの?と言わんばかりの2匹。まだサランの腕の中だ。
「俺は火と生命の魔法しか使えないのです。なので役に立てずに元気いっぱいなのです」
「ギャッ!シュギャ?」
ティラシュアがアーサーの肩に乗り出す。
「ふふ、ティラシュアも火を使えるんでしょう?
一緒だよ!いつか俺がかっこよく火魔法を使う姿を見せてあげるからね?」
「ギャウー!!」
ティラシュアは嬉しそうにアーサーの頬にすり寄る。
「まあ、ティラシュアったら…」
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