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「お帰りなさいませ。私にお休みをくださりありがとうございます。食事室に夕食を運んでもらいました。御子様も既にそちらにいらっしゃいます」
城門で待っていたレミルは3人を迎え入れる。
しかし、
「えっと、王様?サラン様?アーサー様?
どうされたのですか??」
皆嬉しそうな表情で帰ってきたのだ。
サランもアーサーもよく笑うが、フィオリの上機嫌は慣れず、怪しいと感じてしまうレミル。
(後で説明していただきますからね)
(ああ、わかった)
脳内で会話しつつ、3階へと上がった。
食事をもくもくと摂るサランを視界に入れつつ、レミルは尋ねた。
(王、3人で森に行かれていたのですか?)
(そうだ。サランは我が獣化する種族ということも、今まで森で遊んでいた獣が我だったことも知らなかったようだ)
(…そうでしたね。でも、サラン様のご機嫌が良いということは…)
(ああ。驚いてはいたがどちらの我も好いてくれている。
子どもたちが人の見た目をしていない理由もわかって喜んでいるらしい。ティラシュアもエルディオも我の血を引いているとわかったことが更に喜ばせたようだ)
(それで…あなたも、きっとそれを見ていたアーサー様もご機嫌だった、という訳ですね?)
(ふっ、それだけではないぞレミル)
フィオリはサランの頭をひと撫でした。
フォークを休めてこちらを伺うサランと目を合わせる。
なでなで…。
(ふっ、どうだレミル)
勝ち誇ったようなフィオリの顔に、レミルは納得する。
(ああ、触ることを許可されたのですね)
「王様、どうかなさいましたか?」
「いや…なんでもない」
普段表情の硬いフィオリだが、レミルはわかる。王がとても優越感に浸っているということを。
「あっ、そう言えば…お部屋は分けてありますけど、今日はどちらで就寝なさいますか、サラン様」
レミルは今まで暗黒の時代をも生き抜いた主人の幸せが今あることに安堵した。これが続けば良いと思い、サランに声をかけた。
「?」
「ハーシュッド国は夫婦が同じ部屋にいることが多いのですが。ソア国は違いましたか?」
「えっ、わたしと、王様が?」
同じ部屋で寝ることを想像したのか、サランは赤くなる。
「嫌か」
「え、あ、いえ…」
そこに考える隙も与えぬようなフィオリの発言でサランの否定する選択肢を奪うことに成功した。
「よし」
(よしっ、て…口から漏れているではないですか…)
(兄様…策略家ですね)
何はともあれ幸せそうだ。
「キュゥン…」
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