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城の中へ戻れば、アーサーがこちらです、と案内する。
そこは書斎だった。
「?…エルディオ?」
レミルの腕の中で丸まる1匹。目を固く閉じている。
ティラシュアはきょろきょろ、とエルディオの周りを彷徨くだけ。一体どうしたというのだろうか。
「サラン様、王様、あなた方が外出された後、御子様のご容体に変化はなかったのですが…つい先程、エルディオ様がこの姿勢のまま動かなくなりました」
「少し息遣いが荒くて、たまに小さな声を出すのですが」
レミルの手からエルディオをそっと受け取る。
「エルディオ…どうしましたか?」
「キュン」
弱々しい声。いつもの透き通る声ではなく、絞り出したかのような。
「エルディオ…」
サランは胸のあたりに寄せて、優しくとんとん、と背を撫でてやる。いつもはお腹を出して喜ぶのだけど…
「エルディオ、どうしたのだ…」
フィオリの声にも応じない。
「、エルディオ、大丈夫ですか?どこか痛いのですか?」
サランは心配で心配で、エルディオから目が離せない。
「ギャウー…」
それはティラシュアも同じで、そわそわしている。
「レミル、アーサー。この子はいつ頃こうなった?前兆などあったか?」
「私が見ておりました。2人で駆けっこをされていたのですけど…途中、エルディオ様だけが私の方へ寄っていらして、そのまま膝の上で丸くなられました。いつものようにお昼寝をされるのだと思っていました。それくらい、普段との変わりがありませんでした」
「…そうか」
この日を境にエルディオは熱を出した。
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