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誰かがほぅ、と息を漏らした。
あれが…と次の言葉を失う人もいた。
会場の人々の視線の先には2人の笑う姿があった。
誰をも魅了する美貌とオーラを纏う男はこのパーティーの主催者フィオリ王。
彼がいるだけで人の視線は全て集まるだろう。
ただ、その横に寄り添う平凡な顔つきの小柄な男、
サランにも多くの視線が集まった。
どこにでもいそうな…しかし華やかなパーティーには馴染まないような、平凡な風貌。
そう思うのに、
嬉しそうに笑みを浮かべる姿は可愛らしくて
決して華やかではないシンプルな衣装を高貴に着こなしている。
彼らの柔らかな雰囲気がこの場を包んだ。
誓いを交わす文化のないこの国では珍しく、
拍手の中で口付けが行われた。
レミルが手に持つ白色の台座には指輪が2つ。
花嫁は驚いたようだが、すんなりと指にはまる。
ついに泣き出してしまったけれど、新郎がその涙をも愛おしそうにキスを落とす。
そのまま式は進み、
誰もの視線は新婚の2人へ。やじを飛ばすものなど誰もいなかった。
「フィオリ様」
「どうした、サラン?」
「'愛しています'」
「'我もサランを愛している'」
ハーシュッドの古代語は
他国の者は意味がわからないだろうけども、
きっと誰もが通じた。
愛の告白があったのだろうと。
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