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ソア国王夫妻のもとを離れ、他の国に順番で挨拶をしに行った。他の獣族に話しかけられるソア国王夫妻の姿は見ずとも察せる。
(結界が揺らげば即座に)
(ええ、王よ)
(やっつけていいんですね)
脳内でそのようなことがあるとはサランは気づかない。
腕の中にいる2匹は、いつもは夕食を食べて眠りにつく時間だというのに目をぱっちりと開けている。この姿にサランは微笑んだ。
「ふふ、パーティーは珍しいですものね」
「ギャウ」
「キャウ」
「挨拶を…今はよろしいでしょうか」
その時サランの目の前に、銀髪青目で物腰の柔らかそうな男が立っていた。
長髪を1つの白いリボンでゆるくまとめ、肩に流している。一見、フィオリに似ているような人だった。
(そういえば、獣族の方は、銀髪と青目の方が何名かいらっしゃいますね…)
「私はスフイード国、国王のユリシアと申します。
フィオリ、サラン様、本日は誠におめでとうございます。ティラシュア様とエルディオ様にも謁見できまして光栄です」
「ああ」
「ありがとうございますユリシア様」
サランと共に子どもたちも鳴いて挨拶を返した。
「ユリシア、久しいな」
「フィオリ…ああ久しぶり。幸せそうだね、妻も子どももいるなんて羨ましいな」
「ああ。本当に…。
サラン、ユリシアは以前来た、クラシアの弟だ」
「まあ、クラシア様の?」
「ええ、兄がそちらに?ご迷惑をかけませんでしたか?」
「…」
「いいえ、子どもたちを救ってくださった素敵な方でした。ユリシア様、迷惑なんてそんなことありません」
「…そう、ですか?ならばよかったです。兄は血の気が多い人で、私と年が離れているのに幼いところがありますから」
「どちらが兄かわからんな。お前たちは」
「ふふ、すみません」
ユリシアはどうやらフィオリと親しいようだ。サランは一歩下がったところで微笑ましくみていた。
のだが、ユリシアの後ろに小柄な女性がいることに気づいた。フィオリも気づいたようだ。
「ユリシア。そちらは」
「ああ、挨拶が遅れてしまった。フィオリ、サラン様これは私の婚約者です。チアドと言うのですが…この通り。恥ずかしがり屋で…申し訳ない」
ユリシアの後ろで縮こまっているチアド。何度かちらちらとこちらをみては頬を染めてまた隠れてしまった。
「気にしない。2人も今日は楽しんでいってくれ」
フィオリはなんともないように返した。
「はい、どうか気兼ねなく。ユリシア様、チアド様、本日は足を運んでいただきましてありがとうございます」
にこりと笑ってその場を後にしたサランたちの背を、
じっとチアドは見た。
「サラン様、綺麗…」
「ふふ、そうだね。チアド、フィオリもだけど、きっとあの方は優しい人だよ。仲良くなってほしいと言ってこなくてよかった?」
「……言いたかった…でももう行ってしまいました」
「なら、今度手紙を書こうね」
こくこく、と頷くチアドにユリシアは苦笑いした。
チアドは気が小さいわりには行動が大胆なのだ。手紙など毎日書きそうだと想像してしまった。
「サラン様もお前も同じ男だ。
サラン様は子を産んだ。お前もきっと大丈夫だよ」
「うん…」
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