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「よし。ではこの35名に決定だ」
フィオリが大きな判子を押せば、2人の歓声が上がる。
「やったー!やりましたねお姫さま!ついに決まりましたよ!」
「はい!はいっ!!よかったです!」
「ふふ、本当にお疲れ様でした。サラン様とアーサー様の面接のおかげで、素晴らしい人たちを迎え入れられそうです」
採用人数は超過したものの、良い人選ができたとレミルが付け加える。
その一言に2人は安堵の表情を浮かべた。
「ああ。彼らの迎え入れは3日後だ。当日にはこの城の構造や立入許可区、仕事内容等の説明をする必要がある。それはレミルが担当するが、それまでに必要な書類作成を手伝ってくれるか?
この4人で仕事をするのは最後だから、あともう一息だ。頑張ろう。これからは39人になるからな」
「はい、兄様!もうひと踏ん張りですものね。書類は大変だけど頑張りたいと思います」
「わたしもです!がんばります!」
「私もお手伝いいたします。」
「ああ、最後だ。やるぞ」
子どもたちはそんな4人の姿を見て、きゃっきゃと喜んでいた。
そして、新たな仲間を迎え入れた城内は賑やかになってきた。
ガチャリ…
「王妃様!」
「王妃様!おはようございます!」
「おはようございます!!」
「ふふ、おはようございます」
城の一室、「環境部」と書かれた扉を開ければ、同じ部署として働く3人の姿が見えた。返事をした順に、チー、タゥ、トヤという名前でみんな好青年である。いや、年齢的に言うと、タゥはおじさんに分類されるのだが。
そして、サランはこの3人を、ひいては部署を担当するリーダー的存在である。
「みなさん、環境部は、この国の緑を増やしたり、
よりよい水を作ること、ゴミの処理などについて考えなくてはいけません。
私を含め4人で活動することになります。
活動はこれまでの案を基礎とし、計画を立てていきます」
3人はこれまでの資料に既に目を通していたようで、しっかりと頷いている。
「ふふ、…緊張してしまいますね」
サランは目を輝かせながらサランを見つめる3人の視線に照れてしまった。
恥ずかしそうに頬を赤らめて笑う姿に、緊張していた3人も、肩の力が抜けたようだ。
他の部署と比べて人数は少ないが、やることはたくさんある。みんなで協力していかなければならない。だが、サランはこのメンバーなら大丈夫だと思った。
「ハハハッ、王妃様、私どもも緊張していました」
「王妃様も緊張されていたのですね」
「はは、なんだか皆同じ気持ちだったと考えると安心しました」
「ふふ、本当ですね」
顔合わせして間もないが、穏やかな雰囲気である。サランは己の役目を全うしようと笑みを深めた。
話を進めていくと、環境部の目指すべき目標達成のためには、いくつかの問題が出てきた。
自然環境では、緑がサーシャの森以外では育ちにくいということ。道に沿って植えられた植物はフィオリの魔力によって育っているらしい。
水は、サーシャが守っているから大丈夫だろうとこれまで政策をしなかったらしいが、今は違う。彼はいないのだ。このことをサランが3人に報告した時、皆驚き悲しんでいた。
サランだけでなく、この国の民はサーシャを慕っていた。
だからこそ、彼が守ってきた自然は絶対に守ろうと結束が強くなった。
ゴミについては処理の仕方がよくわからなかったため、実際に数値を取りに行くこととなった。それには3人が調査に向かう。サランはフィオリが許可せず留守番となった。
このように、少しずつ動き出したフィオリの政治に、サランは胸を弾ませたのだった。
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