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ナイショの話
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「そんなのむりですよ、いくらなんでもできません!」
体を起こしていやいやと首を振る白田をはいはいと軽く流す水上は、内心面倒くさく思う。相手に恥じらいや建前など求めていない、ここまで準備したのにマグロにお預けをくらうなどあり得ない話だ。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。ただの遊びなんだし、お互いに気持ちよくなればいいだけだろ。もしのぼる君に彼氏がいても黙っていれば済むし、酔った勢いでのことなんて明日にはきっと全部忘れてるよ。」
向き合い優しく頭を撫でる左手の薬指には指輪がある。それに気づかないまま、白田は忘れるという言葉に反応した。
「わすれる?」
「そう、俺も君も全部忘れる。そうすれば今夜の事はなかった事になるよ。」
「じゃあ、だれにもいわないですか。」
「もちろん。」
「せんせいにも?」
先生とは誰の事かわからないが水上はにっこりと笑う。白田はおそらく自分よりも年下で、二十代後半くらいに見える。もしかしたらもっと若く大学生の可能性もあるのかもしれない。入手方法は不明だが、水上の名刺であの店に入り込み酔っぱらうまで飲むなど、こういう行為を期待していたからだろう。
「うん。先生にもナイショ。」
「はあ、よかった。」
心底ほっとして白田の体から力が抜ける。水上が黙っていてくれるのなら、猛牛に何か聞かれても酒に酔って近くのホテルに一人で泊まったと言えばいい。
明らかに表情が緩和した白田を見て、どうやら折り合いがついたようだと先に進むべく水上が動く。無防備な手を取り、まだ萎えていない自分のものを握らせる。
「触って。」
びっくりしたのは一瞬で、初めて触れる他人の男根に白田の気持ちが揺れる。思ったよりも拒絶感はない。ゆっくりと上下すると、水上の息が上がり気持ちよさそうにまぶたを閉じる。眼鏡がなくても見える距離にあるその顔が綺麗だった。
「もういいよ。君に入れたい。」
そう言われて嫌な気がしない。それは酒に酔っているせいなのか、この男が特別なのか。高まる鼓動を感じ、生まれて初めて同性にときめく。
「はい。」
頷き流されるままに身を委ねる。初対面の人間を信用するのは間違っているのかもしれない。白田は明日後悔する事になっても、それでも今はこの腕を離したくないと思った。
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