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思い出
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「今日は楽しんでくれた?」
駅のベンチに座って先輩に聞かれる
「はい。とっても」
僕は先輩の顔を見らずに答えてしまった
先輩は今どんな顔してるのかな
「そっか、よかった…また遊びに行こうね」
そう言って僕の頭をポンポンと叩く
「あの人たちと会ってからずっと悲しそうな顔してるよ?」
「すみません…」
俯いて謝ることしか出来なかった
すると先輩の方からため息が聞こえた
(先輩に嫌われてしまった…)
「九条くん?こっち向いて」
先輩に言われて先輩の方を向くと目の前にネコのキーホルダーがあった
「可愛い…クロと同じで目がクリクリしてる!」
「九条くんがこれで元気になればいいな、って思って」
そう言って僕の手のひらにキーホルダーを置いた
嬉しくて嬉しくてそのキーホルダーをずっと眺めていた
(最後にいい思い出が出来た…)
先輩にお礼を言うと電車がきた
先輩は僕が電車に乗っても笑顔で僕を見送ってくれていた
「先輩。さようなら」
ドアが閉まる音だけが響いていた
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