アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
綾子先輩と遥先生
-
森川くんの姿を2Aで見てからというもの、僕は昼休みにA組に行けなくなっていた。
立山先輩のことは諦めよう。そうは思っても、実際に仲良く教室から出て行く2人を見る強さは僕にはなくて。
だから今日も、保健室で遥先生と2人、ご飯を食べる。
「あ、郡山くんのお弁当今日マカロニ入ってる。美味しいよねこれ」
「もしよかったら一口食べます?」
「本当?ありがとう。じゃあお礼にこれあげる」
「ちょっと遥先生!苦手なトマト僕に押し付けないでくださいよー」
ごめんね、と遥先生が笑った。釣られて僕まで少し笑顔になってしまう。
僕がまた保健室で昼休みを過ごし始めたこと、遥先生は何も言わない。ただ、前と同じようにのんびり楽しくお弁当を食べるだけ。
そんな優しさが、本当にありがたかった。
いつでもここは僕の居場所で、理由なんて話さなくても戻ってきていいんだよって言われているみたいで、嬉しかった。
だけどどこか心の中で、遥先生に話を聞いてもらいたいという思いもあった。
立山先輩のことがこんなに大好きなのに、取られてしまった。諦める、なんて聞き分けのいい子風を装ってるけど、実際は立山先輩のことばかり考えてしまうし、毎晩枕を濡らしている。
食欲が落ちてきてお弁当箱が小さくなっていることも、最近あまり眠れていなくてクマができていることも、遥先生に気づいてほしい。それで、どうしたの郡山くんって、優しく聞いてほしい。
そうしたらきっと僕は、遥先生の前でわんわん泣きながら立山先輩のことを話せるだろう。
遥先生ならきっと、僕が男を好きになっても気持ち悪いなんて思わない。絶対に、辛かったねって優しく言ってくれる。
だけど、自分からは言えない。そんな勇気はない。
遥先生、お願い。何があったのか僕に聞いて。その優しい笑顔で、大丈夫だよって言って。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
75 / 97