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僕らの恋ジジョウ~優しき飼い主様×ニートの野良猫くん~柳田 竜彦編【上巻】
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翔は、今までに見たことのない表情で、少し怒っている口調だ。
「じゃあ、いつ家に帰ってくるの?みんな心配して・・・。」
「あいつが僕のこと心配してるはずないだろ!」
翔が本気で怒鳴る姿・・・、初めて見た。
通りすがる人たちが、みんなこちらに視線を向ける。
「翔、落ち着いて?みんなびっくりしてる。ここだと目立つから、場所を移してゆっくり話せば・・・。」
「話をしたって・・・、何も変わらないから・・・。」
そう言って一人、翔はその場から離れて行ってしまった。
「翔・・・。」
「あの・・・、もし良かったら、俺に話してくれませんか?なんで、翔は家出をしたのか。」
「・・・。」
お母さんは、少し悩んでから答えてくれた。
「わかりました。それじゃあ、どこかカフェにでも入って話しましょうか。」
乗ってきた車に乗り、俺たちは場所を移動した。
* * *
雰囲気の落ち着くカフェに入り、コーヒーを頼んで、お母さんが話し始めた。
「翔のことは・・・、どこまで知っているのかしら?」
「家族のことについては、出会った時からほとんど教えてもらってないです。」
「そう、じゃあ翔がどんな環境で育ったとか、詳しくは知らないのね?」
「はい、なかなか聞いても教えてもらえなくて・・・。」
「翔の父親は、教育に厳しい人で、上には三つ違いの出来の良いお兄ちゃんがいてね、旦那は翔をお兄ちゃんとよく比べて叱ってた。」
「翔は、お兄さんと比べられて辛かったでしょうね・・・?。」
「えぇ。でも翔もね、そこまで出来が悪かったわけじゃないの。××大学にもかよってたしね。だけど、お兄ちゃんはその上の△△大学に通ってて、翔も同じ大学に行くつもりだったんだけど、落ちちゃって。滑り止めで受けていたその大学に行くことになったのよ。」
お父さんは、なんでそこまで翔を追い詰めたのだろう・・・。
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