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「……もうこんな時間か」
ヴァイオリンを弾くのに夢中になっていたせいでいつのまにか外が茜色に染まっていた。俺はヴァイオリンを楽器ケースにしまう。名残惜しいが買い出しに行かないと今晩の晩ごはんすらない。俺は外出用のYシャツと七分丈のスラックスに着替え家を出る、俺は近くのショッピングモールに向かう。大きいショッピングモールなので大抵のものは揃う。食材を買うついでに本屋に寄って楽譜を見に行く。俺はクラッシク音楽の楽譜を買い漁る。俺の両親は仕事で忙しい分、小遣いは余所の家庭よりかなり多いと思う。楽譜を買い漁った俺はそのままショッピングモールの食品コーナーに向かう。久しぶりに何か作ろうと思ったけど、そんな時間と体力あるならヴァイオリンの練習に費やしたい。俺はパスタとパスタにかけるレトルトとカレー、シチューのパウチ、缶コーヒー、そして朝食のカロリーバーを大量に購入する。以前は自炊していたのに、今は見る影もない。俺は大量の楽譜と大量の食料を持って家に帰る、横着して買い過ぎたと後悔しながら暗い道を歩く、俺の住んでいる場所はいわゆる高級住宅地で、医者や社長、教授と言った連中の家も数多くある。俺はその中でも、一際大きい家に入る。
「……疲れた」
俺は楽譜と食料をリビングのテーブルの上に置いた。途中で楽譜を買いに行ったせいで余計時間がかかった。パスタを茹でる時間ももったいないと感じた俺はシチューのパウチをレンジに突っ込む。その間、俺は新しく買った楽譜を読む。
「あっ…やべっ…」
楽譜を読むのに夢中で、危うくシチューが冷めてしまうところだった。俺はレトルトのシチューを食べ終えると防音室に戻り、ヴァイオリンの練習を再開する。
「朝…?」
目を覚ました俺は防音室の壁にかけられた時計を見る。昨日、ヴァイオリンの練習に夢中になっていた俺は気を失うまでヴァイオリンを弾き続けた。いつ意識を失ったのか覚えていない。1度ヴァイオリンを弾き始めると熱中し過ぎて周りが見えなくなってしまう。そういえばヴァイオリンを落としたりしてないだろうか?俺は仰向けのまま首だけを動かしてヴァイオリンを探す。胸の上に何か乗っていることに気付き、俺は視線を胸の上に向けるとヴァイオリンが俺の胸の上に置かれていた。
「良かった…」
ヴァイオリンが傷ひとつない状態で見つかり、俺は安堵の息を吐いた。どうやら昨日はヴァイオリンを抱いたまま眠ってしまったようだ。俺はヴァイオリンを抱いて身体を起こす。とりあえずヴァイオリンを楽器ケースにしまってリビングで朝ごはんを取る。
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