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コンクール当日…俺はドキドキしながら俺は壇上に上がる。審査員や観客の視線が俺に集まる。
(……クソッ…)
この1年間、毎日のように男に抱かれ続けたせいか、審査員や観客が俺を性的で見ているような気になってしまう。
(………集中しろ!!俺!!)
不安定になりかける自分に活を入れ、弓をヴァイオリンの弦に当てて演奏を始める。俺の演奏に聞いている人達は酔いしれる。
(クソッ…集中を見出すなッ!!)
審査員や観客が俺の演奏に酔いしれるほど、俺に向けられるねっとりとした視線の数は増えていく。俺は気のせいだと自分に言い聞かせながら必死にヴァイオリンを弾いた。
「はぁはぁ…キツい…」
俺が演奏している間、観客席から注がれる、蛇が獲物を定めるようなねっとりとした視線に耐え切って演奏した俺は待合室のテーブルに顔を埋めていた。気のせいだとどれだけ自分に言い聞かせても、誤魔化しようがなかった。審査員や観客の中に俺をそういう目で見ているヤツが何人か確実にいた。俺はぶるっと身を震わせる。誰が俺をそういう目で見ていたか分からない以上…帰り道には気を着けないと…。
「今回のコンクールの最優秀賞は赤城 陽くんです」
司会が審査結果を伝えるが、俺は注がれるねっとりとした視線のせいで変な失敗をしないよう、気が気でなかった。俺は壇上に上がり、審査員長から賞状を受け取る。以前だったらただ嬉しかったはずの入賞も無粋な眼差しのせいで嬉しさが半減してしまう。場所を構わずに注がれる視線を気持ち悪く思う一方、最近男に抱かれていない俺の躰がねっとりとした視線に反応してしまう。
「………おい…」
「うわッ!!?」
授賞式を終え、独りで家に帰ろうとした俺の後ろから不機嫌な声が俺の後ろからした。散々いやらしい視線に晒され警戒していた俺は思わず飛び上がってしまう。
「た、達紀…?」
俺が後ろを振り向くと不機嫌そうな達紀がいた。予想外の達紀の登場に俺は言葉を失う。
「迎えに来たぞ…さっさと帰るぞ」
挙動不審な態度を取る俺に達紀は鼻を鳴らす、俺は車のほうに向かって歩き出す達紀のあとに続く。達紀は俺が助手席に座ったのを確認すると車を出した。運転中…達紀はずっと無言だったが不機嫌なことだけは纏っている空気で伝わる。
「……ちッ…」
道路工事のせいで小さい渋滞に捕まると達紀が小さく舌打ちする。達紀がそばにいるせいで身体が疼いて仕方ない。俺は楽器ケースを強く抱き締める、それを見た達紀が目を細めた。
「………そういうことか…」
「え?なに?」
達紀が小さな声で何かを呟くが、俺は上手く聞き取れず、達紀に聞き返すが達紀は答えない、俺は達紀の機嫌をさらに悪くしてしまったのか?と不安になる。ようやく車がゆっくりと動き出し、渋滞を抜けた。
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