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いくら退院したと言っても体力はまだ戻っておらず、泣く事に疲れた僕はベッドにもたれ天井を見上げ息を吐いた。
まだ涙が時々、零れ落ちている。
「泣いても、もうどうにもならないのに…」
言っていて何だか凄く悲しくなった。
もう全部諦めようとしているのに、忘れてしまいたいのに。
彼の存在が、僕の頭の中を、心の中を埋めていく。
どれくらいの時間が経ったのか、閉められたカーテンの外は真っ暗だった。
電気を点けようと立ち上がった時、丁度インターフォンが鳴った。
暗闇をゆっくりと歩き、まずは電気を点けて玄関へと向かう。
ゆっくりと歩いているけれど、妙な体勢でいたせいか足元が覚束ない。
はいと返事をすると、俺だと声が返ってきた。
僕は手を伸ばし、ドアを開けた。
「…え」
きっと謝られて、話しというか別れ話をして、それで終わりだと思っていた。
あのメッセージから後悔は伝わった。
だから、もういいよと言いたかった。
僕の方こそごめんと言って、幸せになってと言いたかった。
でも、言葉が出なかった。
「何、してるの?」
僕は、コンクリートに額を着け、頭を下げる彼を呆然と見下ろしていた。
「止めて、何でそんな事するの…」
はっとなり慌てて彼の腕を掴み、声の大きさを抑えながら体を引き上げようとするけれど、体格と体力の差は明らかで。
「もう、もう良いんだよ!」
思わず声が大きくなる。
だって、彼のこんな姿は見たくなかった。
そしてやっと顔を上げた彼の顔を見て、僕は息を呑んだ。
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