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結局、僕は道端で力尽きしゃがみ込んでしまったようで、そんな僕を見付けた人が救急車を呼んでくれたのだと、病院の看護師さんが教えてくれた。
かなり酷い状態だったらしく、一週間程の入院を言い渡されてしまった。
慌てて職場に電話をして何度も謝った。
目の前が真っ暗になった。
恋人を失い、仕事も失うのかと、そう思うと辛くて、申し訳なくて、悔しくて堪らなかった。
けれど、もう全部を諦めてしまえば良いのではないかと思うと、やっぱり少し楽になれた様な気がした。
午後には、上司と同僚がお見舞いに来てくれて、僕はまた何度も謝った。
「もう、会社を辞めようと思っています」
思わず出た言葉だったけれど、これで決心も着いた。
上司や同僚は、今は元気になる事だけを考えろと、決して責める事はしなかった。
僕は言葉が出なくて、頭を下げた。
そして一週間、安静に過ごし体力が戻った僕は退院をした。
家に戻り、会社に連絡をした以来触っていなかったスマートフォンを取り出した。
会社を辞めた後は、見つかるか分からないけれど地元に帰ってもう一度仕事を探して、暫くは実家で暮らして、でもそうするなら両親にも連絡をしないといけない。
充電をしていなかった真っ暗な画面のスマートフォンにコードを差して暫く考え事をしていた。
彼の事は、意識して考えないようにしていた。
もう終わった事だと、どうにもならないのだと。
そうすれば、全て忘れられるのではないかと思った。
するとしんと静まっていた部屋に着信音が鳴り響いた。
慌ててスマートフォンを手に取ったけれど、僕はその画面をただ見つめる事しか出来なかった。
「…はっきり、終わりにしようとか、言われるのかな」
折角、考えないようにしていたのに。
このまま、全部終わらせてしまいたかったのに。
着信音は暫く鳴り続けた。
溜め息を吐き、スマートフォンを開くと、不在着信の知らせが届いていた。
確認すると、それらの殆どが彼からのものだった。
はっとなり、メッセージアプリも見ると、そちらにも何件もメッセージが届いていた。
驚きながら急いでそのメッセージを読もうとすると、そのメッセージの殆ども彼からのものだった。
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