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その日の休み時間、昴は来なかった。
生徒会の仕事で忙しいのだろうか?それとも、友達と話してる、とか・・・・・・。
そう思うと、なんだか気持ち悪くなった。体調的な意味じゃなくて、なんていうか・・・・・・・胸の辺りが。モヤモヤして、変な例えかもしれないけど、心臓を掃除したくなった。
今日は昴に話をしなくちゃならない。
鎮とは、鎮とだけは、離れることはできないって。
大丈夫。ちゃんとわかってくれる。いくら昴でも、ちゃんと話せばわかってくれる。
甘い考えなのかもしれない。自分で「昴以外の奴とは話さない」と言っておいて、あとから無理だと言うのは。自分勝手な行為だとわかっている。
それでも、無理なんだ。
鎮とはこれからも話したり、遊んだりしたい。
「海斗」
黒板側のドアから声が聞こえる。他のクラスメイトはすでに帰っていて、静かな教室には昴の優しげな声だけが響いた。
「どうしたの?おとなしいね」
歩きながら昴が言う。俺と昴の手は朝と同じように繋がっていて、昴の指先は少し冷たかった。
「・・・・・・、昴、」
少しだけ張り詰めた空気の中、俺は思いきって昴の名前を呼んだ。
昴は俺を見て、「何?」と聞く。
「・・・・・頼みが、あるんだ・・・・・・・」
震えた声で、そう切り出せば。
昴が立ち止まって、体ごと俺に向ける。俺も体を昴のほうに向け、顔を見る。
その相変わらずの笑顔は、俺が何を言おうとしてるのかわかっているようで。
「いいよ、何?」
「・・・・・・・・・・・・っ、」
「海斗?」
昴の気が変わらないうちに、と思うのだけれど、なぜか声が出せない。
昴はそんな俺を見て、首を傾げて催促してくる。
「・・・ぁ、の・・・・・・・っ、」
早く、早く言わなきゃ。
鎮とだけは離れたくない、鎮は俺の親友なんだって。
深みに嵌っていくようだった。早く言わなきゃと思えば思うほど声が出ない。
「っ・・・・・・、」
段々冷や汗が滲んでくる。
言わなきゃ、早く・・・・・・・!
「海斗、落ち着いて」
言いながら昴は俺の頭を軽く撫でた。
こういう時に、思う。
昴は残酷で、強気で、酷い奴だ。だけど、
きっと、ものすごく優しい奴だ、って。
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