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憂悶
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古典、数学、物理......
退屈な授業を最後まで何とかやり遂げ、やっと放課後を迎えた。
清掃も帰り支度も済ませ、京介を教室まで迎えに行こうかと思ったその時、
廊下からあの声と、聞いたことの無い声が交互に響いているのが分かった。
慌てて体をもう一度教室の中へ引っ込ませる。
「...介君はやさ...し、...こい...し...から、......」
所々聞こえづらいが、女子の声であるのは確かだった。
放課後に男女が2人きりで会話とか...まさか。
急に体中から冷や汗が吹き出してくる感覚を覚えた。
不安だからだろうか、心做しか呼吸も荒く、涙目になってきている。
手も震えてきた。
今、頑張って告白しているであろう彼女には申し訳無いが、振られてしまえ、と思った。
非力な自分では、ただこの状況が自分の都合の良い方に転がれと祈ることしか出来なかった。
「...りが......う、...も、俺......がい......だ」
さっきの女子よりか細い声で返答する京介。
その行動が、更に俺の不安を掻き立てた。
OKだったのか?それともNO?
その後、話し声は止み、代わりに彼女と京介の歩き出す音が聞こえて、それは徐々に小さくなっていき、やがて消えた。
結果こそ知らないが、俺は1人、教室の隅で、悪い想像を働かせながら、啜り泣いた。
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