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不良が繋ぐ赤い糸
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「おいおい、金持ってないなんてくっだらねえ嘘ついてんじゃねえぞぉ?」
「金くらい、早く出しておいた方が身のため。そうだろオニーチャン?」
どどどうしてこうなった。
僕は森川優友。今日から高校一年生で、入学式のために透海東高校に向かっていた。
はずなのだが....
少し裏道を通っただけなのに、いつの間にか、こう言っちゃ失礼だが頭の悪そうな人たち3人に取り囲まれていた。
絶賛絡まれ中である。
「本当に財布忘れたんだって....」
僕が困ったようにポケットをひっくり返すと、僕を囲っていた「不良」たちはあからさまに眉を顰めた。
彼らの制服は着崩され過ぎていて判断しにくいが、僕の着ているそれとは違うように思える。
というか違う。
意地でも僕とは違うと思いたい。
「ああん?一銭も持ってねえってか?ハッ」
「んな訳ねえだろ。お前のとこの高校は今日が入学式なはずだ。流石に初日から手ぶらってのは...なあ?ないよなあ......仕方ねえ、もうちょっと脅してあげてもいいんだぜ?」
僕が「ひっ」と短く声をあげると、僕に一番近い人がコキコキと指を鳴らして首を傾げる。
その口元に浮かべられた薄い笑みが、僕の恐怖を更に煽った。
でも持ってないものは持ってないじゃん。
財布を持っていたなら今すぐにでも出したい気分だ。
どうせ子供が持っている金くらいたかが知れている。
それで命が救われるのなら、この場に財布を放り出して逃げ出す方がよっぽどましだ。
「あ、の...ほんとに持ってないんですっ、ごめんなさいっ」
震える唇を必死に動かし、僕が謝罪の言葉を紡ぐと、手前の人の手が振りあがった。
これは殴られる。
そう感じて反射的に身構え、頭を腕で守る。
しかし、予測していたはずの衝撃はなかなかやって来なかった。
「ん________?」
訳が分からずに、恐る恐る薄く目を開くと、そこには僕に殴りかかろうとしている不良の腕を掴んでいる男が立っていた。
僕を殴ろうとしている手を受け止めたその男は、ふっと口元に手をあてて笑うとこう言った。
「ちょっとごめんね、俺、こいつのこと迷子センターに連れて行く約束してるから」
「「「「...は????」」」」
その時は僕も意味が分からなくて不良と全く同じ、素っ頓狂な声をあげてしまった。
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