アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
Vivre dans la révolution~革命に生きて
三部会~力は一つに
-
「ルイ=ジョセフ!」
その時期。マリーは結核で寝たきりになったルイ=ジョセフの看病に入った。
容体は悪化するばかり。
そこに、主治医とパリ大学研修生のティエリも助手として勤めていた。
******
『ティエリ兄さん、ルイ=ジョセフ王太子のお見舞いに行っていいかな?』
『Non』
ディディエは当時、パリ大学の入学を控えていた時期。
当時、伝染病が流行っていたため、感染したら、死に直結しかねない。そのため、ディディエの申し出をきっぱりと断った。愛する弟のためだ。
ディディエの幼子時代、ジャン=フランソワたちからヴェルサイユのプティ・トリアノンに誘われたときがあった。
そのとき、ディディエたちはマリー=テレーズとルイ=ジョセフの遊び相手になってあげていた。
『温室でディディエと遊びましょうか?』
『わあ、素敵だ!』
*****
「ティエリ。身体を拭くから水を速やかに用意しろ」
「ウイ」
ティエリはてきぱきと水の用意をしていた。
しかし、最早、ルイ=ジョセフは虫の息。
「お母さま・・・」
ルイ=ジョセフは静かに息を引き取った。8歳になる直前であった。
「ルイ=ジョセフ!目を開けて!」
マリーの悲痛な声がティエリの胸に突き刺さる。
*****
ルイ=ジョセフや心から信頼していた友人たちが相次いで亡くなった国王一家たち。
悲しみに暮れている暇などない。
「わたしがしっかりとしなければいけない」
マリーは正直、学問が嫌い。母親のマリア・テレジアみたいな才能はない。
「わたしにできることとは・・・財政を守り抜くこと。そして・・・家族を守ること・・・」
しかし、その言動こそ、国民たちの反感を招く要因となった。
「オーストリア女が政治に口を出すな!」
「政治の『せ』すら頭にないのに!」
重税に苦しむ平民たちはマリーに怒りをぶつけた。
自分を苦しめる敵だと決めつけていた。
「国王陛下万歳!」
ルイ16世の歓声はあっても、マリーに対しての反応は冷たいものだった。
「どうして・・・?」
ヴェルサイユで開かれた三部会は1200人を動員した。
大半が平民。改革に熱心に力を燃やしていた。
「税金は第三身分だけじゃない。平等にするべきだ」
第三身分のニコラ・メンディーが言う。
そして、のちの政治家になるマクシミリアン・ロベスピエールもアラスからヴェルサイユに遥々とやって来た。
「いや、そう簡単には変えられるわけがない」
第一身分の聖職者は言い逃れをしていた。
「税金は平民が納めるものだ。フランスの法律がそうなっているはずだ」
第二身分も同様だ。
「このままでは、フランスは本当に破綻しかねない」
依然、平行線のままだ。
「アメリカは自分たちの力で自由をもぎ取った。きっと、我々だってできるはずだ!」
アメリカの独立戦争によるものだ。
「そうか。我々で憲法を作って、不公平な状況から抜け出そう!」
「そうだ!俺たちだって、国民代表だからな!」
6月17日、第三身分は「国民議会」を作ることを宣言する。
その三日後、ヴェルサイユの敷地内の球戯場で「球戯場の誓い」を設立。
「 Nous jurons de ne jamais nous séparer et de nous réunir partout où les circonstances l'exigeraient, jusqu'à ce que la Constitution du royaume fût établie et affermie par des fondements solides」(原文ママ)
(王国の憲法が制定され、強固な基盤の上に確立されるまでは、決して解散せず、四方の状況に応じていかなる場所でも会議を開く)
ヴェルサイユの球戯場で、マクシミリアンとカミーユ・デ=ムーランはテニスで汗を流していた。
カミーユは1789年、ある発言で国民を鼓舞することになる。
「流石、マクシム(マクシミリアンの愛称)やるよな?」
「カミーユの腕だってなかなかじゃないのか?」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
18 / 71