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伝えたい想い。10
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颯斗さんと話をしながら翔真の方へチラリと視線を向けると、翔真がこっちを見ていて目が合ってしまった。
気づいてたのか…。
友人達に何かを告げ、こっちに向かって来ている翔真の表情は他人へ向ける笑顔だった。
色々とギクシャクしている関係にはあるが、この笑顔を向けられたことは人生で初めての経験だった。
そしてきっとそれは翔真の颯斗さんに対する敵対心などから来ているのだろう。
「兄ちゃん、こんな所で会うなんて奇遇だね。」
「あ。おう。久しぶり。」
「こちらは?」
女の子はみんな惚れてしまうんじゃないかと思うくらいの作り笑顔で話しかけてきたものだから、少し動揺する。
翔真が何を考えているのか全く読み取れない。
全てをその笑顔で綺麗に隠してしまっている。
俺は、今のこいつの腹の中は知りたくないと直感的に思った。
「会社の同僚の笹倉さん。」
「はじめまして。笹倉です。」
「あ。ども。棚木 翔真です。
兄ちゃんがお世話になってます。」
颯斗さんは俺の弟と聞いても大して驚くことなく、営業スマイルで大人の対応をしていた。
それを見て翔真の笑顔がもう一段階冷ややかなものへと変わっていったことを感じた。
2人が長い間ここにいたらなんか、やばい気がする。
1人心の中で慌てていたら一緒に来ていた友人らしき人達に呼ばれ
「じゃあ。また。」
と言い残し翔真はテーブルへと戻って行った。
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