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過去の出来事。9
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「修兄ぃ!ゆっくり息して、…!」
そんな声が聞こえ、顔を上げると部屋を出ていった翔真が紙袋を片手に戻ってきていた。
紙袋を俺の口元に当て、俺に伝わるように翔真も深呼吸をする。
しばらく吸って吐いてを繰り返すと症状は治まった。
「…修兄ぃ。」
なんでそんな顔で見るんだよ。
いきなり襲ってきてなんでそんな顔で俺の心配するんだよ。
元はと言えばお前が悪いんだろ。
そう言ってやりたかった。
でも言えなかった。
今喋ると恐怖に呑まれて俺が俺じゃなくなりそうな気がしたから。
助けてくれたのはありがたいと思ったけど、翔真に対して感じた恐怖はそれだけでは消えてくれなかった。
「帰れ…。」
震える声で告げた俺の言葉を聞くと翔真は素直に自分の部屋へ帰って行った。
その後安堵感と疲労感が一気に押し寄せてきて、体もろくに拭かず眠りについていた。
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