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054.拓磨のお話-拓磨の涙-
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拓磨side
なんだろ…その心地よさ……
なんだか懐かしい…あったかい
「拓磨、愛してる、愛してるよ…」
耳元でそっと生徒会長の声がする。
さっきからずっとぎゅっ、てされてる。
その腕には何と無くチカラがこもっていて、でも優しくて、ほんとに懐かしい。
混乱で乱れていた心がだんだんと落ち着いていく。
「拓磨、拓磨、愛してる…他の誰にも渡したくない…」
誰にも渡したくない…
そんなの言われたのはじめて…
オレの瞳からしばらく見てないだろう水滴が頬を伝って落ちた。
あ…あれ…泣いてるの……?
こんな水見たのいつぶりだろう。
幼稚園で転んだとき…?
いや、小学校の頃、父さんが母さんを叩くのを見たときだ…
それ以来、涙なんか出なかった。
親の温かみを知らなくて…
出るものも出なくなった…
それが今なんで……
「拓磨、お前は誰にも渡さん…絶対だ…」
あ…また耳元で生徒会長の声が聞こえた。
「寂しかったんだよな、辛かったんだよな、苦しかったんだよな、ごめんな、側に居てやれなくて……」
あぁ…落ち着く…生徒会長の中はあったかくて、はじめて感じた温かさ…
瞳からは冷たい雫がいっぱい零れ落ちる。
「うっ…うぅっ…な、ぉき…く、うぅっ…」
小さな声をあげて泣いた。
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