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077.嫌じゃないよ
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「伊澄が許してくれたから、今から2人でイイコトしよっか」
俺の両脇に手をつき、上からニコニコした慶がおもむろに口を開いたと思えば、とんでもないことを言い出した。
え、俺また押し倒されてんじゃん……
だが、正直、ちょっと期待した。
あの時屋上で、古くて俺の奥底にあった記憶、きっとそれを塗りつぶしてくれるのは慶だと思った。
中学生にして男を受け入れさせられ、その記憶を抹消していたと思えば蘇り狂う。不安定な俺だったけどそんな俺を受け入れてくれた慶だからちょっと期待した。
今でもあの時の事を思い出すと虚しくなってくる。と同時に自己嫌悪に襲われる。嫌だったのに、痛かったのに、感じて声を荒げてしまった自分に。
気付いた時には俺の瞳から大粒の涙が溢れてて、
「伊澄……」
俺は慶に押し倒されたまま、声も出さずに泣いていた。無意識だった。
「伊澄…あの時の、悲しかったよね…俺とするの嫌…だよね…」
不意にふわっと胴が持ち上がりそのままぎゅっと慶に抱きしめられた。
あったかかった。
俺は泣きながら慶の体にそっと手を回した。
「嫌…じゃないよ………」
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